特別国民体育大会「燃ゆる感動かごしま国体」は16日、鹿児島県伊佐市菱刈カヌー競技場などで14競技を行い、県勢はカヌースプリント200メートルで少年女子カヤックフォアの県選抜(鈴木葉月、佐藤和佳、鈴木紅葉、長瀬ほのか)が優勝した。
カヌースプリントはほかに、少年男子カヤックシングルの太田隆斗(谷地高)と、少年男子カヤックペアの県選抜(佐藤岳真、荒木啓佑)が2位に入った。成年女子カナディアンシングルの佐藤恵(県スポーツ協会)は6位となった。
陸上は、少年男子A300メートル障害の後藤理久(九里学園高)が6位。男女混合1600メートルリレーで県選抜が決勝に進んだ。
序盤の加速から一気に、他チームの追い上げ許さず
前々日の悔しさを歓喜に変えた。カヌースプリント200メートル少年女子カヤックフォアの県選抜は、集団から頭一つ抜け出す会心のパドリングで栄冠をつかみ、14日の500メートル2位の雪辱を果たした。
県選抜の強みである序盤の加速が勝敗の鍵だった。レース前にスタートの調整を繰り返し、動画で修正点を共有。芦野貴士監督から「必ず行ける」と送り出されたメンバーは「勝てるという感触があった」(長瀬ほのか)「ゴール後の景色が想像できた」(鈴木紅葉)と最高の精神状態で本番に入った。
スタートダッシュに成功し、勝利がぐっと近づいた。むしろ、真骨頂はここからだった。息の合ったパドリングは最後まで乱れることなく、他チームの追い上げを許さなかった。「全てをぶつけ、チームが一つになれた」(鈴木葉月)「みんなを信じて自分たちのレースができた」(佐藤和佳)とそれぞれが喜びをかみしめた。
谷地高勢が3人を占める県選抜の中で唯一の中学生、西川中の佐藤はレース後、「高校生の先輩方は(自分を)不安に感じていたのでは」と明かした。だが、チームにとって、佐藤はかけがえのない存在だった。鈴木葉は「自分たちになかったものをチームに与えてくれた」とねぎらった。学校や学年を越えたチームが結成される国体ならではのレースで、県選抜は本県カヌー界の底力を示した。