【タイ】セーター首相、シャオミにEV投資呼びかけ[経済]

シャオミ幹部との会談に臨んだセーター首相=中国・北京(タイ政府提供)

中国・北京を公式訪問中のタイのセーター首相は17日、スマートフォン世界大手の小米集団(シャオミ・コーポレーション)の幹部と面会し、電気自動車(EV)関連の投資を呼びかけた。鉄道車両大手の中国中車集団(CRRC)、保険大手の中国平安保険(集団)、電子商取引(EC)中国最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)の幹部とも会談し、タイの強みをアピール。特に先進技術分野の中国大手の誘致を目指している。

セーター氏の中国訪問は首相就任後初めて。北京で17~18日に開催される巨大経済圏構想「一帯一路」の第3回国際会議に出席するほか、李強首相との個別会談も予定する。

タイ政府の発表やセーター氏のX(旧ツイッター)アカウントによると、セーター氏は17日、シャオミの林世偉・最高財務責任者(CFO)兼副総裁らと会談した。セーター氏は「タイは(東南アジア地域の)EV生産の中心地。既に多くのメーカーがEV工場を設置している」と述べ、豊富な支援・優遇措置でシャオミのビジネス成長をサポートするとアピールした。

シャオミはEV業界への参入を目指しており、先月までに中国でEVの試験生産を始めた。年内に中国当局から量産の認可を得る見通しだという。

セーター氏はCRRCとの会談では、タイの鉄道輸送システムへの投資や、部品工場の設置、研究開発(R&D)センターの設置を呼び掛けた。セーター氏によると、CRRCは長い間、タイへの投資に関心を示しているが、これまで公式な会談の場がなく、話を前進させることができていなかった。今回の協議により、投資計画を具現化していけると期待感を示した。

平安保険に対しては、タイが医療ツーリズムの振興に積極的であり、タイで治療や出産などを希望する中国人のビザ(査証)要件を緩和する準備があることなどを伝えた。

アリババとは、「ラザダ」や「全球速売通(アリエクスプレス)」など国際EC事業を担う「阿里国際数字商業集団」の蔣凡・最高経営責任者(CEO)と会談。デジタル、物流、クラウドサービス分野でタイへの投資拡大を望むとラブコールを送った。

セーター氏は中国での予定を終えた後、サウジアラビアに移動してASEAN(東南アジア諸国連合)・湾岸協力会議(GCC)サミットに出席する。

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