【マレーシア】マラッカ州に自動車工場建設[車両] 地場EP、中国のEV組み立ても

自動車工場の起工式でくわ入れをするEPマニュファクチャリングの代表者ら=20日、マラッカ州(マレーシア投資開発庁提供)

マレーシア証券取引所(ブルサ・マレーシア)のメイン市場に上場する自動車部品メーカー、EPマニュファクチャリングは20日、マラッカ州で自動車工場の起工式を開いた。投資額は1億リンギ(約31億円)以上で、中国メーカーの電気自動車(EV)の組み立て生産も手がける計画だ。

新工場は、マラッカ州北部アローガジャの工業団地ハイコム・ペゴー・インダストリアル・パークに建設する。第1期の年産能力は3万台を予定している。新工場の建設により、1,000人の雇用機会創出が見込まれている。

新工場では、中国自動車大手の北京汽車集団(BAIC)と、長城汽車の内燃機関(ICE)車、EVの組み立て生産などを予定している。

EPマニュファクチャリングは今年7月、投資貿易産業省から省エネルギー車(EEV)とEV、電動商用車の製造・組み立ての承認を取得。同月に、北京汽車集団の海外事業子会社である北京汽車国際発展(北汽国際)と、北京汽車のスポーツタイプ多目的車(SUV)「BJ40P」「X55II」、右ハンドルの内燃機関車の組み立て生産のほか、EVを共同開発することで基本合意した。

今月18日には、長城汽車が昨年設立したマレーシア法人グレート・ウォール・モーター・セールス・マレーシアと、長城汽車の内燃機関車、EVの組み立て生産を視野に入れた覚書を交わした。

■東南アのEV製造集積地に

マレーシア政府は、国を東南アジア最大のEEVやEVといった次世代自動車の製造集積地にすることを目指しており、複数の企業が生産拠点を設ける計画を発表している。

中国自動車大手の浙江吉利控股集団(浙江省杭州市)は7月、100億米ドル(約1兆5,000億円)を投じて、ペラ州タンジュンマリムを東南アジア最大の次世代自動車の製造集積地「オートモーティブ・ハイテク・バレー(AHTV)」にする計画を発表。吉利は今月に入り、マレーシアのコングロマリット(複合企業)DRBハイコムと、同計画について合意したと発表した。

マレーシア投資開発庁(MIDA)によると、国内では、2018年から今年6月末までにEV関連事業59件が承認され、投資認可額は262億リンギに上っている。

■電動バイク事業も継続

EPマニュファクチャリングは20日、完全子会社EPエクイティーを通じて、中国で電動バイクメーカー、鯊湾科技(シャークガルフ・テクノロジーズ・グループ)とマレーシアに設立した合弁会社の株式70%を、EPマニュファクチャリングのアフマド・ラズラン・ビン・モハメド・グループ最高責任者(CEO)に譲渡すると発表した。

投資貿易産業省が定める、「合弁会社にはブミプトラ(マレー系と先住民の総称)が70%以上出資しなければならない」との条件を順守するためで、鯊湾科技との事業は継続していく。

鯊湾科技は、「藍鯊(ブルーシャーク)」ブランドの電動バイクを生産・販売している。EPマニュファクチャリングは今年3月、鯊湾科技とマレーシアでの電動バイクの組み立て、生産、販売で戦略提携した。

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