京都市の神社参道でスズメバチ被害相次ぐ 幼児ら刺される 市が注意喚起怠り、被害拡大

ハチへの注意喚起を促す看板(京都市右京区)=愛宕神社提供

 スズメバチ被害が多発する季節となり、京都市内では今年、市認定道路の愛宕神社参道(右京区)で被害が繰り返された。市は今月2日に事態を把握したものの注意喚起はせず、神社側は注意を呼びかける張り紙を参道に掲げたが被害は続出。8日には幼児を含む家族連れが刺される事態も発生した。巣は参道沿いの木の根元の地中にあり、11日、市の依頼を受けた業者が毒えさを置き駆除した。

 参道を管理する市西部土木みどり事務所によると、1日、愛宕神社から「蜂の巣があり何人か刺された」と夜間・休日緊急受付センターに連絡が入った。日曜日だったため、同事務所は翌2日に事態を把握したという。

 市はスズメバチの相談があった場合、現場管理者に巣の撤去を求めている。今回、被害が複数発生した蜂の巣は市管理の参道上にはなかったが、同事務所は「道路の通行に支障がある」と判断。3日、業者に撤去を依頼した。しかし、巣が参道上になかったことなどから、参拝客や登山客らに危険を告げる広報は行わなかったという。

 その後判明しているだけでも、5日に「刺された」「スズメバチの巣があるようだ」などと市医療衛生センターに2件通報があり、8日には3歳や6歳の子どもを含む家族3人が刺された。

 同事務所は「ここ5年ほど愛宕山でスズメバチ被害の報告はなかった。市が把握後に被害が広がったということで、広報については今後どうしていくべきか検討していきたい」としている。愛宕神社は被害が発生して以降、「X」(旧ツイッター)で注意を促す文面を定期的に投稿しており、「ハチが残っている可能性があるので今後1週間ほどは気を付けて通って」としている。

被害どう防ぐ?

 スズメバチの被害は例年、8~10月ごろに集中する。京都市医療衛生センターによると、巣が最も大きくなる時期であるのに加え、次第にえさが見つかりにくくなりハチは興奮しやすい状態にあるという。市への相談件数ベースでは、今年は例年並みで推移している。

 被害を防ぐには、巣を見つけたら近づかず、ハチが「カチカチ」という警戒音を発したら逃げることが大事。ハチの巣を襲うクマなどに間違われないよう黒っぽい服装を避け、ハチを呼び寄せるような香りの強い香水も避けるのがよいという。

 個人宅にスズメバチの巣ができた場合、自費負担1万円で業者に除去してもらう京都市の補助制度があり、毎年600件前後の利用があるという。

キイロスズメバチ=京都市衛生環境研究所提供

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