アートの力、金山を発信 街角交流施設、環境アーティスト・サイさんの常設展

世界平和のメッセージを込めた作品について説明するサイヒロコさん=金山町・マルコの蔵

 愛知県で2005年に開かれた「愛・地球博」でモニュメントを制作するなど国際的に活躍する環境アーティスト、サイヒロコさんの常設作品展が23日、金山町の街角交流施設「マルコの蔵」で始まった。サイさんが代表を務める団体が今年4月から同所の指定管理者を務めており、常設展では国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部で展示した作品などを公開した。音や映像を駆使して人間の五感に訴える芸術作品もあり、文化の発信拠点として盛り上げていく。

 サイさんは、最上地域で課題解決型ビジネスの構築に取り組む小野寺忠司山形大教授から同町を紹介されたことが縁で、施設の指定管理者を引き受けた。

 常設展のテーマは「アートがあなたと世界を救う」。自身の過去の作品に加え、金山町写心倶楽部の伊東忠次さん(75)=新庄市五日町=が町内で撮影した風景写真とのコラボ作品など約30点を展示した。

 日本初公開のアート作品「21世紀を拓(ひら)くメッセージアート」は、国連事務総長をはじめ世界187カ国の100万人が平和に向けたメッセージを書き込んだ作品(長さ500メートル)で、1997年からユネスコ本部に展示していた。今回はその一部となる4枚(それぞれ高さ4メートル、幅2メートルほど)を公開した。地球を一つの体に例えて全身に血が巡る様子を描いたという。

 常設展に合わせて来町したサイさんは「金山町には世界に誇れる町並みや文化がある。アートを介して世界に発信したい」と話した。今後、同施設内で着物をモチーフにした作品展示や、仮想空間「メタバース」上に構築した“金山町”を舞台に理想のまちを作り上げるプロジェクトを進めたいと意欲を示す。

 入場料は、町民と町内で働いている人が無料。一般700円。

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