日本二十六聖人記念館 モザイク壁画修復へ 長崎・西坂小児童が小皿に絵付け 思い思いに

小皿に絵付けする児童=長崎市立西坂小

 長崎市西坂町の日本二十六聖人記念館で、陶器やタイル、ガラスなどを組み合わせたモザイク壁画の修復が進んでいる。手がけているのは東京のモザイク造形作家で、遊工房代表の宮川雄介さん(53)。長年の雨風などで欠落した壁画の小皿を補うため、23日、同市御船蔵町の市立西坂小(山川武校長、93人)で、2年生22人が小皿に思い思いの色を付けた。
 壁画は同記念館の東西2カ所にあり、建築家でカトリック信徒の故今井兼次氏が制作。二十六聖人が歩いた京都から長崎までの道のりをたどりながら色鮮やかな陶片や端材を集め、1964年に完成させた。

日本二十六聖人記念館の東側の「望徳の壁」(宮川さん提供)

 宮川さんは同記念館の依頼を受け、昨年、西側の壁面を修復し、今年9月末から東側の壁面(高さ7メートル、幅9メートル)に着手。「望徳(ぼうとく)の壁」というタイトルで、星から降り注ぐ光とともに、もたらされた豊かな恵みを表現している。
 25日まで同記念館近くにある同校も修復作業に協力し、児童たちが陶磁器用の上絵の具を筆や指に付けて、小皿に絵を描く。宮川さんは「星から光を受けた恵みの皿。幸せな気持ちで、楽しいことを思い浮かべて」と呼びかけた。秋をイメージした模様を描いた道脇歩さん(7)は「楽しかった。自分の皿が使われるのはうれしい」と話した。
 児童が描いた小皿計約50枚は乾燥させた後、窯焼きを経て、星が光を放つデザインの近くの壁面に設置される。宮川さんは「子どもたちに文化遺産の保存に携わってもらい、地元に愛着を持ってもらえれば」と話した。東側の壁画の修復は11月初旬に完了する予定。

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