「どうか弟に真の自由を」袴田巌さんの再審初公判が始まる “補佐人”の姉が全面否認 検察「現金を奪い 4人を殺した」と指摘=静岡地裁

1966年、静岡県の旧清水市で一家4人が殺害された、いわゆる袴田事件で死刑が確定している袴田巖さんの再審=裁判のやり直しが10月27日に始まり、被告側は起訴内容を全面的に否認しました。

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<山口駿平記者>
48年に及ぶ収監で精神的に不安定な状態が続く袴田巌さんは出廷が免除され、被告人が不在という異例の展開で初公判を迎えました。

袴田さんの代わりに法廷に立った姉のひで子さんは、裁判長から起訴内容が事実かと問われると、「どうか弟に真の自由をお与えください」と全面的に否認しました。

いわゆる袴田事件は今から57年前、旧清水市でみそ製造会社の一家4人が殺害されたもので、逮捕された袴田さんの死刑が確定。

しかし、無実を訴える袴田さん側は再審を求め続け、2023年3月、東京高裁は重要証拠とされてきた「5点の衣類」について「捜査機関によってねつ造された可能性が高い」などとして再審の開始を認めました。

再審が行われる静岡地裁周辺には裁判が始まる3時間ほど前から、傍聴を希望する280人が並ぶなど関心の高さが伺えました。

27日朝、姉のひで子さんは報道陣に次のように語りました。

<姉・ひで子さん>
「やっと始まる。57年戦ってやっと再審開始になりまして、裁判って私初めてなんですよ。だけど別に、びくともしゃくともしてない。望むことは真実を望むっていうこと。巌は無実だから『無罪』を望んでおります」

被告人不在の中、進む初公判ですが、罪状認否の後は冒頭陳述が始まり、検察は改めて「袴田さんが被害者の家から現金を奪い、4人を殺した」などと指摘しています。

姉のひで子さんは、検察の主張を淡々と聞いていました。

再審では、東京高裁で「捜査機関のねつ造」とまで言及された5点の衣類の証拠価値が大きな争点となりますが、検察側は新たに専門家らによる鑑定書などから、改めて袴田さんの犯行着衣であると立証する方針です。

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