独自の新税「交通税」導入検討 滋賀県、公共交通の維持費に 市民からは反対の声も

地域交通の将来像を三日月知事や県職員、県民らが議論したフォーラム(草津市新浜町・イオンシネマ草津)

 地域公共交通を支える新税「交通税」の導入を検討している滋賀県は10月28日、知事や職員と県民が地域交通の将来像について意見交換するフォーラムを草津市内で開いた。三日月大造知事が新税への理解を求めたのに対し、参加者からは「税負担の要らない方策を考えて」と導入に反対する声も上がった。

 県民ら約300人が来場し、約100人がウェブ視聴した。

 県交通戦略課の職員が、今夏に市町の役所や商業施設に出向き、約1200人の住民から地域交通について聴き取りをしたアンケート結果を発表。ほぼ毎日公共交通を使う人は17%にとどまる一方、子どもの通学や運転免許返納後を見据え、公共交通の維持や拡大を望む声があることなどを紹介した。

 三日月知事は、公共交通を維持・拡大しようとすれば県や事業者の負担が年間2億5千万円~89億円追加で必要になるとの試算を示し「現状と理想の差を埋める手段として、少しずつ負担し合う交通税があれば、どんな暮らしができるのか皆で考えてほしい」と呼びかけた。

 その後、知事や公共政策の専門家らが討論。会場の参加者からは、交通税に対して「新たな負担が要らないライドシェア導入などが先で、社会保障費や税負担が重たい中でさらに増税は無理がある」との意見も出た。

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