山中漆器、東南アジアに照準 富裕層拡大の成長市場

山中漆器を売り込むメンバー(右)=シンガポール(山中商工会提供)

  ●加賀の5社連携 シンガポール、マレーシアで商談

 加賀市で山中漆器を扱う5社が連携し、東南アジアでの販路開拓に挑んでいる。30日に各社の代表者がシンガポールで現地バイヤーとの商談会に臨んだほか、11月3日まで同国とマレーシアで市場調査や企業訪問を行う。人口減少や生活様式の変化で国内市場の一層の縮小が見込まれる中、中間、富裕層が拡大する成長市場に伝統産業をアピールし、新たな需要の取り込みにつなげる。

 東南アジアを訪れているのはウチキ(柏野町)、カノー(黒瀬町)、岡田や漆器(別所町漆器団地)、たつみや(同)、守田漆器(山中温泉上原町)。海外販路開拓を目指す山中漆器連合協同組合のプロジェクトチームで、県シンガポール事務所と山中商工会が支援する。

 30日はシンガポールのレンタルスペースに食器やビールグラスを展示し、輸入卸業者などと商談を行った。31日までの2日間で計数十社のバイヤーが来場する予定だ。

 会場を訪れた日本食レストランのオーナーは「金箔(きんぱく)を施した製品が豪華で良い」と評価。食器販売店のバイヤーは日本食の高級レストランに器を売り込みたいと構想を語った。

 経済発展著しいシンガポールはアジア・アラブ圏から移住した富裕層が多い。品質の高い日本製の食器や歴史文化に関心のある人も多く、山中漆器の新たな販路として有望な市場という。

 11月2、3日はマレーシアの首都クアラルンプールで物流、小売企業を訪問し、商談に臨む。現地の食器類などの市場調査も実施する。

 ウチキの打出浩喜社長は「海外で山中塗の伝統技術を生かした商品の需要を掘り起こしていきたい」と話した。

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