【シンガポール】QRコード新規格、11月に概念実証を実施[金融]

シンガポール金融管理庁(MAS、中央銀行に相当)は10月31日、決済用QRコードの新規格「SGQR+」の概念実証(PoC)を実施すると発表した。異なる決済サービス間の相互運用性を高め、小売店、消費者両方の利便性を向上するのが狙いだ。

概念実証は11月1日から30日まで実施。国内の小売店が一つの金融機関、金融サービス会社と提携するだけで、国内外の多様な決済サービスに対応できる体制を構築する。

具体的には、米ビザ、マスターカード、シンガポールの電子決済サービス「NETS(ネットワーク・フォー・エレクトロニック・トランスファーズ)」、配車サービス大手グラブの電子決済サービス「グラブペイ」、中国の電子決済アプリ「支付宝(アリペイ)」など国内外の23種類の決済サービスを使って行う。

東部チャンギ地区のほか、11月15~17日に国内で開催される大規模なフィンテック(ITを活用した金融サービス)イベント「シンガポール・フィンテック・フェスティバル(SFF)2023」の会場内の小売店約1,000店で「SGQR+」の運用を検証する。

第1弾としてシンガポールのモバイル決済会社リキッド・グループが主導し、異なる金融機関、金融サービス間での決済処理方法の切り替えを進める。第2弾はNETSが主導。消費者がNETSの決済対応店で国内外の多様な決済サービスを使えるようにする。

シンガポール政府は2018年、国内共通の商業用QRコード規格としてSGQRを導入。QRコードの統一規格としてSGQRを使うことで、店舗が複数のQRコードや決済端末を用意しなくても済む仕組み作りを目指している。

現状では、小売店は国内外の多様な決済サービスに対応するため、決済サービスごとに複数の金融機関、金融サービス会社と提携する必要がある。消費者や観光客は自身がよく使う決済アプリに対応している小売店を選ばなければならない。

政府はこうした課題に対応するため、SGQRを進化させて相互運用性を高めたSGQR+の概念実証を行うことにした。

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