【別府】詩人で作家の豆塚エリさん(30)=別府市弓ケ浜町=とイラストレーターのこっちゃん(30)=本名・小島ひとみ、石垣西=が、大人向け絵本「夜空に虹を探して」(変形B5判・26ページ)を制作した。個人の抱える悩みや不安にどう向き合うか葛藤してきた2人が初めてコラボ。「どんな状況でも明かりや希望はあると伝えたい」と話してる。発刊記念として3~5日に市内で原画展を開く。
豆塚さんは自殺未遂で頸(けい)髄を損傷し、車椅子の利用者になった。こっちゃんは統合失調症を患っている。それぞれの境遇を受け入れながら、精力的に創作活動をしている。
絵本制作は、豆塚さんの文体を好きだというこっちゃんから提案した。2人は同じ年齢。高校時代に豆塚さんは飛び降り自殺未遂を、こっちゃんは病気を発症したことなどに縁を感じたという。「2人が響き合うことで新たな世界観を伝えられたら」と意気投合した。
テーマは「月虹(げっこう)」(月の光で見える虹)。暗闇の中に閉じこもっているような気持ちの主人公が、ゆっくりと心を解放していく心象を描いている。
豆塚さんの文章は「傷つくのは生きているからで、生きることは傷ついていくこと」など、情感があふれる。暗い色と虹色を組み合わせたこっちゃんの絵は、心の葛藤を表現している。
2人は「痛みを共有するような一冊。手にすることでそれぞれの新たな一歩になったら」と話してる。
原画展はギャラリー嶋屋(松原町)で午前11時から午後4時。原画を中心に2人の過去の作品などが並ぶ。
本は明屋書店高城店など大分、別府両市5カ所で販売。1冊千円。問い合わせは豆塚さんのメール(mamentomori325@gmail.com)。