富山県内でクマの出没と人身被害が相次ぎ、里山周辺の屋外施設が警戒を強めている。1日に敷地内で1頭が目撃された立山町の県常願寺川公園はバーベキュー場を閉鎖し注意喚起の看板を増設。富山市の割山森林公園天湖森(てんこもり)は爆竹を使ってクマを遠ざける。巡回を強化したり営業時間を短縮したりする施設もあり、3連休を控えた秋の行楽シーズン真っ盛りに、緊張感が高まっている。
「きょうもクマが出たと連絡があった。いつか大ごとになるのではないかと、内心ヒヤヒヤしている」。県常願寺川公園管理事務所のスタッフは周辺でクマの目撃が相次ぐ状況について心配そうに話した。
立山町によると、公園周辺では10月下旬ごろから目撃、痕跡の情報が相次ぐ。同22日に幼獣1頭、同27日に足跡が確認され、1日は園内のラグビー場近くで幼獣1頭が見つかった。
こうした状況を受け、管理事務所は10月21日からバーベキュー場を閉鎖した。1日には新たに遊歩道やテニスコート周辺などにクマ出没への注意を呼び掛ける看板15枚を設置した。
割山森林公園天湖森は、3連休初日の3日朝、キャンプ場周辺で爆竹を鳴らしクマの侵入を防ぐ。担当者は火薬の臭いを残すことでクマが寄りつかないようになると説明した。利用客には生ゴミの処理を徹底するよう求める。園内のパークゴルフ利用者にはクマよけの鈴を貸し出している。
キャンプ場の予約は3、4日がほぼ埋まっている状況で、担当者は「万が一にもクマの被害が出ないようにする」と話した。
富山市の県総合運動公園は10月以降の人身被害多発を受け、職員による園内の巡回頻度を増やしている。同市の神通川水辺プラザでは1日から、パークゴルフ場の利用時間を1時間短縮して午後5時までとした。
富山県によると、今年の県内のクマによる人身被害は、10月17日に富山市江本(えのもと)の住宅庭で70代女性が死亡したケースを含め6件で、被害者は計7人となった。いずれも富山市内で発生している。