目視の義務付け、フロッピーで提出… 大分県が「アナログ規制」の見直し進める【大分県】

KDDIスマートドローンとオーイーシー(大分市)が保護樹木をドローンで撮影した=10月30日、大分市の柞原八幡宮

 行政事務の効率を高めようと、県は目視や対面の義務付けといった「アナログ規制」が含まれる条例などの見直しを進めている。デジタル技術を活用し、人手不足の解消や業務の省力化を図る狙い。本年度は小型無人機ドローンなどを使い、利便性の向上につながるか検討をしている。

 10月30日、大分市上八幡の柞原八幡宮周辺をドローンが飛んだ。デジタル庁と県が実施した実証実験で、クスやスギなどの特別保護樹林約300本を撮影した。

 県環境緑化条例は樹木の保護の申請があった場合、県職員が山林を歩いて目視で確認するよう定めている。これまで上八幡と同規模の現場は半日~1日かけて確認していたものの、この日は15分ほどで終えた。画像を基に人工知能(AI)が木の種類や高さ、幹回りなどを割り出す。

 作業に当たったKDDIスマートドローン(東京)の山崎颯(そう)プロジェクトリーダー(29)は「実用化すれば省力化につながる」と力を込めた。

 県は2月、アナログ規制が含まれる法律や県条例などが962項目あると確認した。このうち387項目は、県の裁量で見直しができる内容だった。継続して検討が必要な業務を除く183項目から着手することにした。

 内訳は▽「道路点検は職員が現地に出向いて確認する」などの目視関連 10件▽対面での講習 8件▽県民が公文書を閲覧する場所を限定 50件▽書類提出時の記録媒体として、現在は使うことが少ないフロッピーディスクを指定 66件―など。

 商工会などの事業計画の聞き取りを面談からオンラインに切り替えるほか、放置自動車の所有者が判明しない場合に県庁に張り出していた文書をホームページで閲覧できるようにする―といった変更を想定している。

 県はさまざまな検証を踏まえて条例などを改正する。県DX(デジタルトランスフォーメーション)推進課の麻生柳太朗主査(39)は「デジタル技術の安全性、実効性の確認が進むことで他自治体の参考にもなる」と話した。

<メモ>

 国も2024年6月をめどに、デジタル技術の進展に法整備が追いつかず、業務の効率化を妨げている法律や政省令など9669項目を見直す。河川法や都市公園法などにあるインフラの維持・修繕のための巡視や、道交法の安全運転管理者講習などが含まれている。

© 有限会社大分合同新聞社