城田優さん、初めて語った生い立ち 悩み救った母の言葉とは 神戸市外大で講演

学生からの質問に答える城田優さん=神戸市西区学園東町9、神戸市外国語大学

 テレビドラマやミュージカルで活躍する俳優の城田優さん(37)が、神戸市外国語大学(神戸市西区学園東町9)で講演した。自身の実体験を基に、学生ら約340人に「人に嫌われることを恐れず、マイノリティーでも正しいと思うことを信じて」と訴えた。

 同大学の学生が多様性を考える機会をと企画、日本人の父とスペイン人の母を持つ城田さんを招いた。城田さんが講演会という形で自身の経験を語るのは初めてという。

 講演会で城田さんは、スペインではアジア人差別、日本では「外人」と呼ばれた経験を明かした。居場所がないことに落ち込む城田さんに母親は「その人も別の国に行けば『外人』になる。全員が地球人だと言い返してやりなさい」と言われ、視野が広がったという。「社会に出れば、必ず文化の違いにぶつかる。その時に客観的に自分と相手の状況を想像する力が必要。その力で人との関係を円滑にできる」

 交流会では、学生たちが率直な質問をぶつけた。ネガティブな気持ちを切り替える方法を聞かれた城田さんは、「根も葉もない報道には毎回傷つき、心臓を針で刺されるような不安を感じてきた」といい、「でも人生一度しか生きられないのなら、落ち込むのはもったいない。全ての人に好かれたいという気持ちは捨てて、自分が好きな居心地のいい場所を探すのが大事」と助言した。

 企画者の1人、荒井羽太さん(22)は「やらない後悔よりもやる後悔という言葉が胸に残った。モチベーションが上がった」。炭谷千絵さん(21)は「常に他者への想像力と愛があればより良い社会になると思う」と話していた。(津田和納)

© 株式会社神戸新聞社