東京Vの城福浩監督、自動昇格の可能性残して臨む栃木とのホーム最終戦へ「やってきたことのすべてを出す…」

栃木とのホーム最終戦へ意気込む城福浩監督[写真:©︎J.LEAGUE]

東京ヴェルディを率いる城福浩監督が、5日に味の素スタジアムで開催される明治安田生命J2リーグ第41節の栃木SCに向けた意気込みを語った。

前節、3位のジュビロ磐田(勝ち点69)とのアウェイゲームを1-1のドローで終え、自動昇格圏の2位浮上のチャンスを逃した4位の東京V(勝ち点69)。今節は2位の清水エスパルス(勝ち点70)、磐田が前日に試合を戦うなか、その翌日に18位の栃木(勝ち点44)との一戦に臨む。

ホーム最終戦でもあり、自動昇格へ勝利必須の一戦に向け、城福監督は試合2日前に行われたクラブハウスでの公式会見で栃木戦に向けたいくつかのトピックについて言及した。

前回対戦で2-0と勝利した栃木の印象については、シーズン途中の補強に加え、シーズン最終盤を迎えてより戦い方が整理されてきたように感じているという。その中で互いに信条とするハードワークの部分での戦いが勝敗のカギを握るとしている。

「まずは選手補強を非常に有効に使っていますし、戦い方がかなり明確になっていると思います。特に直近で前からプレッシャーに行くときと、引いて[5-4-1]のブロックを敷くときのメリハリは元々ありましたが、前からのプレッシャーの割合が少し増えたと思いますし、そこの覚悟というか迫力があり、前で引っかけてシュートまでという部分がシーンとして増えたと感じています。あとは全員がハードワークするので、すごくシンプルなクロスでもそれがチャンスになる。全員がボールに対してアタックするなど、そういう栃木というチームの印象はすごくポジティブです。中には足元の技術が高い選手もいますが、ハードワークの部分で我々も競り負けてはいけないと考えています」

自動昇格の可能性を残して臨むホーム最終戦に向けては、磐田戦でも経験した昇格争い真っ只中での緊張感を良い形でパフォーマンスに還元することを求めている。

「ヴェルディがJ2になってからという言い方が適切だと思いますが、このタイミングで自動昇格の可能性を持って迎えたことは自分の認識では初めてだと思います。したがって、当たり前ですが、味わったことがない緊張感をこの前のジュビロ戦でも経験しましたし、こういう一試合一試合は選手個人にとってもチームにとっても大きな経験になります。この前のヒリヒリする磐田でのアウェイを経験したからこそ、我々のホーム最終戦もどのようにプレーすべきか、特別ではなく我々らしくプレーするとはどういうことか、もう一度改めて感じた選手もいたと思います」

「自分たちも何をやるべきかというと、勝ち点を一番多く取れると信じているからこそ、開幕から我々のやり方をやってきたわけで、これを突き詰めていくことが勝ち点を重ねることであって、特別なことをやるのであれば最初から特別なことをやっていればいい。そういう意味では自分たちが立ち返るところをもう一度認識し、やってきたことのすべてを出す。そこに集中できれば自ずと良い結果が出ると考えています」

また、完全アウェイの雰囲気に加え、若手主体のチームゆえの昇格争いでの経験不足も見受けられた磐田戦からの修正に関しては、昨シーズンのチーム発足時から要求する“尖ったサッカー”を実現する上で、改めてチーム全体でリスクを背負う重要性を説いている。

「もちろんミーティングのシーンのピックアップの仕方や伝え方は、その都度違っていて自分の感覚でこれは強く言った方がいいとか、ここはポジティブなシーンを多く見せた方がいいとか、言い方に関してもネガティブなシーンでも言い方を試合ごとに変えています。ただ、ずっと変えていないのは誰しもが見たくない失点シーンは必ず直視するようにしています」

「なぜこうなったのか、チームとして何ができたのか、それはどんなシチュエーションであっても誰が絡んでいてもそこに聖域はないので、全く今までと同じように過去の39試合と同じようにやりました。その中でも我々らしく攻守に戦っていくためにどうするべきかを選手たちが感じられるような伝え方をしました」

「失点シーンで言えば、その10秒前や20秒前から遡りますが、なぜここでポジションを外してのか、ここはもう少し絞っていればボールに詰めていれば良かったとか、そういうことはやりますが、トータルで自分たちが相手陣でポゼッションをし始めたときに我々がプレッシャーのチャンスをすべて活かして相手に圧力をかけたのかということ」

「選手たちはやっぱり負けたくなかった。あの空気感の中で後ろに重たいというのは可哀想ですが、我々らしいアグレッシブさをキックオフから全部出せたのかと言えば、悪い試合ではなかったですが、言葉を恐れずに言えば、『勝っても負けても我々らしくやろう』それが一番悔いがないので。ただ、それは前の日や試合当日のミーティングでも言葉に出していましたが、あの空気感のピッチに立つというのは、ほとんどの選手が初めてですし、それを経験しながら勝ち点を得たことは非常に大事だったと思います」

「失点シーンだけでなく全体として前が出し切ってバトンを渡したのか、そこまで追うのかと見ている選手が思うようなプレッシングをしたのか、全員がここまでハードワークしてリカバリーパワーを出すのか、そこはもっと臆せずに出した方がいい。やり切ってやり切って最後にバトンを渡していくという部分は、サボったという負けたくないという部分で慎重になる。それがイコール我々らしくなくなるという部分が多少見受けられたと思います。これは経験だと思います」

「どんなサッカーにもリスクはあります。リスクを考えたときに、これをやれば後ろのスペースが空く、これをやれば抜かれたときにどうする、これをやればラインが上げられない。おそらくリスクだけを考えれば、尖ったサッカーにはならずに、まん丸なサッカーになってしまう。金太郎あめのようにこういうチームはよくあるというような形になります」

「それを非難しているわけではないですが、何かを研ぎ澄ましてやるためにはリスクを背負う必要があり、あれぐらいの緊迫感の中でやると人間はそういったリスクが思い浮かんでしまいます。ただ、自分たちはそれを覚悟してやってきたので、攻守においてこだわってきたものに関してはもう一度リスクを背負って自分たちらしくやる。あえて、ここで掛け声をかけるという、立ち戻ってみんなで共有する。そのリスクは全員でリスクヘッジするんだ、というようにしないといけないような緊張感の中でやっているということ」

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