38年待ちに待った…虎ファン「希望と感動もらった」 阪神2度目の日本一

阪神が38年ぶりに日本一になり、歓喜に沸くファン=5日夜、西宮市の甲子園球場(撮影・吉田敦史)

 59年ぶりとなったプロ野球の日本シリーズ「関西対決」を制し、1985年以来の日本一を達成した阪神タイガース。38年前の栄光を知らない平成生まれのナインたちがオリックス・バファローズとの熱戦に決着をつけた。待ちに待ったオールドファンから、初めて経験する若者まで。各地の虎党が歓喜に酔いしれた。

 

■敵地埋めた虎党

 3勝3敗とタイまでもつれ込んで迎えた第7戦。京セラドーム大阪は早くも四回表、ものすごいボルテージに包まれた。ノイジー選手の二夜連続の先制本塁打で3点を奪うと、本拠地ばりの「六甲おろし」の大合唱が敵地を揺らした。

 「阪神の選手がホームやと錯覚するくらいに叫び、熱い声援を送りました」と川西市の保育士女性(27)。そして、歴史的瞬間に立ち会った虎党たちは興奮の渦の中にいた。

 「ほんま長かった。長すぎた。暗黒時代もあったよ。でも、いくら弱くても、応援しがいのあるチームなんやわ」とは、大阪府枚方市の会社員男性(52)。「今日は試合前から胴上げを想像するだけで僕、もう泣きそうやった。夢と希望と感動をもらった。ずっと応援してきてよかった、阪神ファンでよかった。僕もう52歳や。生きている間に2度目の日本一を見られてほんま、よかった!」と一気にまくし立てた。

 神戸市の会社員男性(59)は岡田彰布監督の胴上げと球場に響く「岡田コール」に、38年の年月をかみしめた。「長い間我慢したから、なんや。我慢したからこそ、喜びもひとしおや。これこそが阪神ファンの醍醐味なんですわ」

 

■聖地・甲子園

 約12キロ離れた甲子園球場(西宮市)も沸いた。第5戦で王手をかけると、急きょ本拠地で第6、7戦のパブリックビューイング(PV)を決定。岡田監督が5回宙を舞うのに合わせ、集まった約1万2千人のファンも総立ちで「バンザイ!」の大歓声と、自然発生的に「六甲おろし」の大合唱になった。

 「スゴイ、どうしよ! ヤバイ!」。京都府福知山市から家族4人で駆けつけた男性(47)は「ずっと待ち望んだ瞬間」に言葉を失った様子。

 九回裏の直前には今年7月に28歳で亡くなった横田慎太郎さんの現役時代の登場曲「栄光の架橋」が響いた。流通科学大4年の男子大学生(22)=高砂市=の目には光るものが。「朝まで声がかれるまで応援歌を歌いたい。来季も岡田監督の下、常勝軍団を目指して」と目を赤くした。

 

■淡路島からも

 不動の1番・近本光司外野手と優勝の立役者・村上頌樹投手の地元・淡路島も喜びに沸いた。

 近本選手が生まれ育った淡路市内でのPVには出身の少年野球チーム「仮屋クラブ」の児童や地元住民ら約120人が集まり優勝を喜んだ。中身は水の即席鏡開きに、やはりここでも「六甲おろし」の大合唱。

 近本選手の父恵照さん(62)は「感無量。阪神に指名された時はここまでできるとは思っていなかった。皆さんの声援のおかげ」と誇らしげな表情を見せた。

 阪神のユニホーム姿で観戦した仮屋クラブの男児(11)は「近本選手がたくさん打ってかっこよかった。近本選手みたいにチャンスで打てるようになりたい」と目を輝かせた。 (大田将之、杉山雅崇、千葉翔大、地道優樹、中村有沙)

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 プロ野球のペナントレースを制した阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝パレードに向け、兵庫県や大阪府、関西経済連合会などでつくる実行委員会は、開催事業費を募るクラウドファンディング(CF)を行っています。11月30日午後11時まで、専門サイト「READYFOR(レディーフォー)」で受け付けます。

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