神戸高2刺殺、被告の男に損害賠償命じる 遺族への慰謝料 神戸地裁が決定

神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 神戸市北区で2010年、高校2年の堤将太さん=当時(16)=が刺殺された事件で殺人罪に問われ、一審で懲役18年の判決を受けた当時17歳の男(30)に、神戸地裁が損害賠償命令制度に基づき、遺族への慰謝料など約9300万円の支払いを命じたことが6日、遺族側弁護士への取材で分かった。決定は10月24日付。

 堤さんの両親が、刑事裁判手続きの中で損害賠償を求め、地裁に審理を申し立てた。命令の決定書によると、葬儀費用や慰謝料、逸失利益など約1億2700万円を請求していた。

 一審判決などによると、男は10年10月4日夜、同市北区の路上で、堤さんを折り畳み式ナイフで突き刺すなどして殺害し、約11年後の21年8月に逮捕された。

 今年6月にあった裁判員裁判の公判で、男は殺意を否認し、弁護側は判断能力などが低下した心神耗弱の状態だったと主張。判決後、控訴している。

 同制度は、犯罪被害者支援の一つ。殺人や傷害などの刑事事件で有罪判決後、同じ裁判所で損害賠償請求の審理を行うことができる。被害者側が刑事裁判手続きの中で申し立てた場合、訴訟記録を証拠として調べ、原則4回以内の審理で決定する。費用負担が軽く、被害者側による事実の立証がしやすいとされる。

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