県内再生エネ導入、右肩上がり 22年度・342万キロワットで目標上回る 太陽光が9割

 2022年度の栃木県内での再生可能エネルギーの導入容量は前年度比46万キロワット増の342万キロワットとなり、県の目標値(321万キロワット)を上回ったことが6日までに、県気候変動対策課のまとめで分かった。太陽光発電が約9割を占め、県が定める中間目標(30年度までに420万キロワット)を超えるペースで増加している。国の「固定価格買い取り制度(FIT)」により、事業者が売電目的で大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の整備を進めていることが背景にあるとみられる。

 22年度の導入容量は、11年に発生した東京電力福島第1原発事故直後の7倍にまで増加した。内訳は太陽光発電が299万キロワットで、このうちメガソーラーが140万キロワット。水力が35万キロワット、バイオマスが7万8千キロワットと続き、風力と地熱は1万キロワット未満だった。太陽光発電は前年度比で45万5千キロワット増え、メガソーラーは約8割の37万キロワットを占めた。

 同課によると、メガソーラーの導入が進む理由としてFITの存在を挙げる。国が原発事故を受けて12年度に導入した制度で、発電した再エネ電力を固定価格で一定期間電力会社に買い取らせることで、太陽光発電の普及を急速に進めてきた。一方で買い取り費用の一部は国民や企業などが負担するため、国は固定価格を段階的に引き下げてきた。

 県内で22年度に設置した事業者は、固定価格が現在より高かった13~19年度に国から事業計画認定を取得しているという。地元との合意形成や環境影響評価などの手続きに時間を要するケースがあり、最近になって設置が進んでいる状況にある。

 近年の固定買い取り価格はピーク時の4分の1ほどまで低下しており、今後は売電による収益が以前ほど見込めなくなるとして、事業者の新規参入は徐々に鈍化していくとみられる。

 またメガソーラー設置は、環境破壊や景観悪化などの懸念から県内でも地元住民が反発するケースが相次いでいる。県は事業者の再エネ施設設置を適切な場所に誘導するため、市町が設定する「促進区域」の基準策定も進めている。

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