リニア工事の生態系影響を議論 国の有識者会議1年半の議論に終止符…静岡県の“会議継続”退ける「まだまだ論点ある。とても残念」

リニア新幹線の工事に伴う生態系への影響を議論する国の有識者会議は、14回にわたる会議の報告書をまとめることで合意しました。一方、静岡県は「まだ、議論する余地がある」として、会議の継続を求めましたが、退けられた形となりました。

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リニア中央新幹線のトンネル工事に伴う南アルプスの環境への影響について話し合う国の有識者会議は、2022年6月に始まり、2023年11月7日で14回目となりました。

前回の会議では、これまで検討してきた環境保全に関する内容をまとめる段階に入ったとして、報告書の案を示しました。

報告書の案では、「論点ごとにモニタリングなどの措置を的確に行い、必要な見直しを行うことでトンネル掘削に伴う環境への影響を最小化することが適切である」などとまとめられていました。

これを受けて、静岡県は11月1日、「工事着手前の生態系への影響を予測していない現在の案では、状況に応じて対策を考える『順応的管理』を適切に実施できない懸念がある」などとして、国に意見書を提出しました。

7日の会議では、県の意見書も踏まえ、報告書の案を一部修正することになりましたが、大きな変更点はなく、報告書としてまとめる方向で合意されました。

<JR東海 宇野護副社長>
「有識者会議としての報告書案がまとまるということですので、大変喜ばしいと思います」

<静岡県 森貴志副知事>
「まだまだ、議論を行わなければならない論点があるという認識。有識者会議がこれで終了して、報告書をまとめて終わりになると、とても残念な思いがあります」

森副知事は会議の中で、「疑問がぬぐい切れず、考え直して頂きたい」と述べましたが、有識者会議の座長は「どうか内容を理解して頂いて、県の専門部会で活用してほしい」と述べ、県の意向は退けられた形となりました。

1年5か月に及ぶ議論に終止符が打たれることになりますが、県の懸念は拭えず、静岡工区着工の見通しは立たないままです。

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