パチンコに溺れて金着服した公務員、コンビニ再就職後も売上金を使い込み逃亡…ギャンブル依存症の壮絶な日々

「ギャンブラーズアノニマス(GA)未来福井グループミーティング」で思いを語るりんたろうさん(左)=福井市の福井県社会福祉センター

 賭け事にハマって生活に支障が出る「ギャンブル依存症」。かつてギャンブル依存症に苦しんだ福井県福井市の30代男性は、今では借金はあるものの普通に働き、ギャンブルとは無縁の生活を送っている。ギャンブルのために勤め先の金を着服、発覚を恐れて失踪、ごみをあさって生き延びるギリギリの日々―。15年以上にわたる壮絶なギャンブル依存生活から、どのように脱出したのか―。重い口を開いた。

 ■無力を認める

 「私たちはギャンブルに対して無力であり、思い通りに生きていけなくなったことを認めた」

 9月下旬、福井市の県社会福祉センターの一室。ギャンブル依存症と闘う人たちが経験や現状を共有する「ギャンブラーズアノニマス(GA)未来福井グループミーティング」。GAのハンドブックを手にした参加者5人が、回復へ向かうための言葉を読み上げ、順番に語り出した。

 2年半前からミーティングに通うりんたろうさん(仮名)が口を開いた。

 「旅先で何万円か持っていたが、ギャンブルに使うことなく帰ってこられた」

 そして続けた。

 「でも、ふとした瞬間にギャンブルしたい衝動にかられて怖かった。そういうところを少しずつ克服していきたいと思う」

 ■1日で数十万円

 りんたろうさんがギャンブルにハマったのは高校卒業後、公務員として働き始めてから。同僚に連れられてパチンコ屋に行ったのがきっかけだ。仕事終わりから閉店まで、休日も入り浸った。1日で数十万円勝つ快感が忘れられなかった。サラ金にも手を出し、借金は一時150万円に膨れ上がった。

 20代後半になって組合のお金を管理する職場に配属されると、パチンコのために着服を繰り返すようになった。「給料日が近づくと10万円とか20万円を抜き、給料で補填した。ボーナス前に30万円抜いたらバレた」。どういうわけか罪悪感はなかった。家族に弁済してもらい、退職した。

 半年ほどコンビニでバイトし平穏に暮らしていたが、夜勤のリーダーを任されると、ストレスから再びパチンコを始めるようになった。依存症からの回復中にギャンブルをしてしまう「スリップ」だ。

 一方で、真面目な仕事ぶりが評価され店長に抜てきされた。すると、今度は本部へ送る売上金に手を出し始めた。給料で補填していたが、金額が大きくなりすぎて、お金の工面をしているうちに送金が遅れた。不審に思った本部が監査に入った。

 「監査の人が店内に入って来た瞬間バレたと思い、財布も携帯も店に置いたまま逃げ出した」

 1カ月半におよぶ逃亡生活が始まった。

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⇒【ギャンブル依存症】「変な話、仕事とギャンブルの両立できなくて」また失踪

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