神戸市北区で2010年、高校2年の堤将太さん=当時(16)=が刺殺された事件で、殺人罪に問われ一審で懲役18年の判決を受けた当時17歳の男(30)が、遺族への慰謝料など約9300万円を支払うよう命じた神戸地裁の決定に対し異議を申し立てたことが、遺族側弁護士への取材で分かった。被害者側の負担が小さいとされる「損害賠償命令制度」に基づく決定だったが、通常の民事訴訟で争われる見通しとなった。
賠償命令は、堤さんの両親が刑事裁判手続きの中で地裁に審理を申し立て、10月24日付で決定。決定書によると、葬儀費用や慰謝料など約1億2700万円を請求していた。
この命令に対し、男は代理人弁護士を通じて、11月7日付で神戸地裁に異議を申し立てる内容の書面を提出したとされる。
一審判決などによると、男は10年10月4日夜、同市北区の路上で、堤さんを折り畳み式ナイフで突き刺すなどして殺害。今年6月の裁判員裁判の公判で、男は殺意を否認し、弁護側は判断能力などが低下した心神耗弱の状態だったと主張した。男は判決後、控訴している。