阪神Vの中づり広告がメルカリ出品、盗品か 電車内で一部行方不明に 過去の優勝時はポスター被害も

一部が行方不明になったリーグ優勝記念の中づり広告(阪神電気鉄道提供)

 日本一に輝いたプロ野球阪神タイガースのリーグ優勝を記念して、阪神電気鉄道(大阪市)などが電車内に掲げていた中づり広告の一部が行方不明になっている。担当者は「なぜかなくなっていた」と戸惑いつつも、盗まれた可能性を否定しない。現在は日本一の広告を掲げるが、2003年のリーグ優勝時に駅などでポスターの盗難が相次いだという。

 阪神電鉄によると、リーグ優勝の中づりはB3判で、同社、球団、阪神甲子園球場の連名で数千枚を用意した。球団ロゴマークをあしらい、赤い大きな文字で「優勝」と記し、リーグ優勝を決めた翌日の9月15日からクライマックスシリーズ・ファイナルステージ初戦前日の10月17日まで、約360両に取り付けた。

 通常、汚れたり破れたりした広告は廃棄し、新品を補充する。だが、車内につり下げる枚数を増やそうとしたところ、他の広告より在庫の減りが早く、逸失したことが分かった。

 なくなった正確な枚数は不明で、担当者は「何らかの影響で外れた可能性がないとは言い切れない」。盗まれたと断定できないことから、警察には相談していない。ただフリーマーケットアプリ「メルカリ」で出品されていたことは確認したという。

 タイガースの優勝時の広告やポスターを巡っては、過去に苦い経験がある。1985年以来、18年ぶりにリーグ優勝した際、記念ポスター計1万枚を駅などに張り出したところ、過熱した一部のファンによって盗まれては張り直してのいたちごっこに発展。わずか1週間で撤去され、喜びに水を差す事態となった。

 日本シリーズを制した翌日の今月6日からはファンの声援に感謝を伝える日本一の広告を掲示したが、8日時点で阪神電鉄の広報担当は被害を確認していない。

 しかし7日に1枚がメルカリに8999円で出品され、すぐに売れた。商品説明には印刷会社などを通じて入手したと書かれているが、真偽は分からないという。

 ファンからは広告を喜ぶ声が聞かれる一方、交流サイト(SNS)では「盗まれるのでは?」と懸念する書き込みもみられた。

 中づり広告やポスターの窃盗は犯罪行為で罰せられる。阪神電鉄の担当者は「外部への広告の譲渡や販売はしていない。出品されても盗品の可能性があるので、購入しないでほしい」とくぎを刺す。(門田晋一)

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