白バイ全国大会で優勝 県警交通機動隊の萩原隊員 自転車経験糧に、悪路乗りこなす

白バイの全国大会で初優勝した萩原隊員=7日午前、県警機動センター

 茨城県ひたちなか市で10月に開かれた第53回全国白バイ安全運転競技大会で栃木県警交通機動隊の萩原慎也(はぎわらしんや)隊員(29)が、災害現場での走行を想定した不整地走行操縦競技で初優勝し、8日、県警本部で本部長表彰を受けた。県警の優勝は2001年の女性部門の傾斜走行操縦(スラローム)競技以来で、男性部門では初めて。警察官になる前は自転車ロードレース選手としてプロを目指していた萩原隊員。エンジン付きの二輪車に乗り換え、全国警察官の頂点に立った。

 大会は10月7~9日の3日間、茨城県ひたちなか市新光町の自動車安全運転センター安全運輸中央研修所で開かれた。全国の都道府県警と皇宮警察から警察官が出場し、バランス走行、障害物などを越えるトライアル走行など四つの種目で腕を競った。

 不整地走行の競技はモトクロスのように、起伏のある土のコースをオフロードバイクで走る。今大会の同競技には95人が出場した。

 同競技が行われた大会最終日は雨が降り、コースはぬかるんで大きな水たまりもできる厳しいコンディションとなった。萩原隊員はコースの悪条件などは気にせず、自分の走り方を普段通り貫くことだけを考えたという。

 結果、減点になる転倒などもなく、最も早いタイムでゴールまで走り抜けた。「本当にうれしかった。協力してくれた県警内外の多くの人たちに、最高の形で恩返しができた」

 萩原隊員は作新学院高自転車競技部で銀輪に夢中になり、卒業後は自転車ロードレースの国内最高峰ツアー「Jプロツアー」参戦もあるホンダ栃木にアマチュア選手として所属しプロを目指した。夢には手が届かず、父親が警察官だったこともあり16年10月、県警の警察官を拝命した。

 しかし、自転車に打ち込んだ経験、培った技術が糧になっている。「オフロードバイクを乗りこなすには下半身の力が重要で、自転車の経験が優勝の大きな力になった」という。

 時には休暇を返上し、大会に向けて練習を重ねた。「白バイの運転技術向上は、事故での受傷を防ぐことにつながる。事故防止に向けて、身に付けたスキルを周囲に伝えていきたい」。優勝を喜びつつ、県民の交通安全にも目を向けた。

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