黄之鋒氏が米国領事館に亡命求めた

香港での逃亡犯条例改正の混乱に関する米国人ジャーナリストによる新しい本で、服役中の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)元香港衆志秘書長が、香港版国家安全法の施行前に政治亡命を図るため在香港米国総領事館に進入しようとしていたことが明らかになった。だが米国は応じなかったもようだ。11月8日の商業電台ニュースによると、この本にはパスポートを没収された黄氏が、香港版国家安全法施行前に総領事館に入ることを希望して米国総領事館職員と面会したと記載されており、陳光誠氏の例に倣ったという。中国本土出身の盲目の人権活動家である陳氏は米国総領事館に入り、その後米国に移った。黄氏は2020年6月30日、米国総領事館の向かいにあるセント・ジョンズ・ビルの米国総領事館事務所で総領事館職員と面会。職員は米国外で政治亡命を申請することはできないと説明した。

同書には黄氏のパートナーで米国にいる元香港衆志常務委員会委員の敖卓軒氏が黄氏の名前で当時のポンペオ米国務長官に電子メールを送り、政治亡命を申請したと記載されている。しかし当時米国はヒューストンの中国総領事館の閉鎖を決定していたので、黄氏が香港の米国総領事館に潜伏したら、中国がその機会を利用して総領事館を閉鎖するのではないかと米国当局者は懸念していた。米国にとっても黄氏を水路で秘密裏に国外に移送することは非常に困難で、ひとたび中国海洋警察に発見されれば国際的な事件に発展するとみられた。

同書はまた、米国政府が中国政府による香港版国家安全法可決への対応を検討していた際、当時のトランプ大統領が補佐官の提案した英国、カナダ、オーストラリアと同様の「救命ボート」案を「気に入った」と表明したことも明らかにしている。 だが最終的には当時の右翼大統領補佐官が阻止して断念したという。

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