酒田酒造(酒田)が評価員特別賞 東北清酒鑑評会、吟醸酒の部

 仙台国税局は10日、2023年東北清酒鑑評会の結果を発表した。本県から吟醸酒の部で酒田酒造(酒田市、代表銘柄「上喜元」)が最優秀賞に次ぐ評価員特別賞に選ばれた。県内酒蔵の優等賞受賞は吟醸酒、純米酒の両部門で計15場22点で、共に東北2位だった。

 酒田酒造は柔らかな飲み口に加え、厚みのある甘みと酸味のバランスが良く、すっきりとした後味に高い評価を得た。外国人品質評価員からも香りのほか、芳醇(ほうじゅん)な味わい、刺激的な後味が好評だった。同社は19年にも純米酒の部で最優秀賞、吟醸酒の部で評価員特別賞を得ている。

 各県の出品数や優等賞獲得数は表の通り。本県から優等賞を受けた場数、点数は、吟醸酒の部が13場15点となり、場数は2位、点数が1位タイだった。順位は昨年に比べ場数が1ランクダウンし、点数が同じだった。純米酒の部は7場7点で、共に3位となって昨年と同じ順位だった。

 今年の出品酒に関し、仙台国税局は「吟醸酒は華やかな香りと滑らかで膨らみのある味わいが調和した酒がそろった。純米酒は原料米が多様で、酸味やうまみに特長がある個性豊かな酒が多かった」と講評した。

 県内酒蔵に関し、県工業技術センターの石垣浩佳食品醸造技術部長は「(県産最高峰酒米の)雪女神を上手に使い、夏の温度管理も適切で(20銘柄が金賞を得て全国1位だった)春の全国新酒鑑評会の好成績を維持できた」と分析。東北地方の酒蔵の醸造技術は高く、「その中でこの成績を残せたのは酒蔵の皆さんの努力の結果」とたたえた。

 鑑評会は東北6県で22酒造年度(22年7月~23年6月)に醸造された清酒が対象で、大半が22年冬に醸されて半年ほど熟成された。審査は予審、決審の2回に分けて10月にあり、研究者や技術者など延べ35人(外国人2人を含む)が品質評価員を務め、銘柄名を伏せて味や香りといった酒造技術を総合的に審査した。

 ◇本県の優等賞受賞製造場(かっこ内は所在地と代表銘柄)

 ▽吟醸酒の部=出羽桜酒造山形蔵(山形市、出羽桜)米鶴酒造(高畠町、米鶴)亀の井酒造(鶴岡市、くどき上手)竹の露(同、白露垂珠)冨士酒造(同、栄光冨士)菊勇(酒田市、三十六人衆飛天)酒田酒造(同、上喜元)杉勇蕨岡酒造場(遊佐町、杉勇)麓井酒造(酒田市、麓井)松山酒造(同、松嶺の富士)小屋酒造(大蔵村、花羽陽)高木酒造(村山市、十四代)六歌仙(東根市、手間暇)

 ▽純米酒の部=東の麓酒造(南陽市、東の麓)米鶴酒造(高畠町、米鶴)冨士酒造(鶴岡市、紅葉に鹿)酒田酒造(酒田市、上喜元)杉勇蕨岡酒造場(遊佐町、杉勇)和田酒造(河北町、あら玉)高木酒造(村山市、十四代)

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