“リボン”がつなぐ未来「子どもたちがまんぷくの国に」食事に困る子どもを作らないために 広がる「フードリボンプロジェクト」

「おいしいです」。広島市安佐北区可部にあるラーメン店「衝青天 噂通り店」で、笑顔を見せるのは、子どもたちです。

渕上沙紀キャスター
「暖簾をくぐって中に入ると、券売機がありました。いろんなラーメン並んでいますが、その下のほうに、ありました!夢チケットです!300円!」

この店は子どもたちに無料で食事を提供する取り組み「フードリボンプロジェクト」の加盟店です。フードリボンプレジョクトは、食べに来たお客さんが、自身の食事とは別に「夢チケット」を購入します。購入されたチケットはリボンとして店内に掲示され、中学生以下の子どもたちが利用すると、いつでも無料で食事をすることができます。

この店では▽塩ラーメン▽醤油ラーメン▽旨辛ラーメン▽中華そばの中から選ぶことができます。

フードリボンプロジェクトは2021年、その日の食事に困る子どもをつくらないことを目的に始まりました。

フードリボンプロジェクト 橋本展行理事長
「当時は、子ども達の中で7人に1人の割合で、まともに食事が家で取れない家庭環境があると知って、すごくショックを受けた。せめて食事をとれなくて、困って空腹のまま寝なきゃいけない子ども達がいないような仕組みが作れないかというのがスタートライン」

食事に困る子どもたちが、日常的に食べられるよう営業日は毎日実施できるというのが加盟の基本条件です。

フードリボンプロジェクト 橋本展行理事長
「子ども食堂はどうしても、ボランティアの人たちが自分の休みを使って月に1、2回開催をしているから、きょう困った子ども達のお腹を満たすのは無理。ですから僕たちはその部分を担いたいと」

シングルマザーの大倉さんは、琉晴くんと一緒に毎週ラーメンを食べに来ています。

大倉涼子さん
「ありがたいです。食費など、この物価が高い中で、ありがたいです」

物価の高騰で日々の食費がかさみ、家計も圧迫されているという大倉さん親子。夢チケットのおかげで、家計が助かる上に、外食の特別感も味わえて琉晴くんも喜ぶといいます。

大倉涼子さん
「夢チケットを買ってくれた人たちに、感謝の気持ちでいっぱいです」

加盟店は徐々に増え、全国で133か所、広島県内では5店舗が実施しています。経済的に困難な子どもたちが遠慮せず足を運べるようなるために、間口を広げなければいけないといいます。

フードリボンプロジェクト 橋本展行理事長
「間口が広がることで、本当に困っている子ども達も当たり前に使える世の中になっていくと思います」

今回の取材でも、学校や部活帰りの子どもたちの姿も見えました。部活帰りに立ち寄った中学1年生の2人は、醤油ラーメンを注文しました。この店では、多いときには1日10人ほどの子ども達が来店するといいます。

来店した中学1年生
「美味しいです!麺もいい感じに柔らかくて、汁も美味しくて、めちゃくちゃ美味しいです」

衝青天 噂通り店 三浦紘太店長
「子ども達が来て『ごちそうさま』って笑顔で食べてくれたらうれしいですね。ほかの飲食店もやっていただけたら、こういうのが広まっていくのかなとは思いますね」

お店には、フードリボンプロジェクトを実施していることを知り来店した人もいました。

夢チケットを買った客
「先日は6枚買ったんでね。今日は7枚。(フードリボンプロジェクトを)応援してる大人がいるっていうのを、子供たちがいずれ大人になったときに『そういえばそういうの食べたな』っていう感じてくれるだけでもいいじゃない」

子どもたちのためになるならと、これからも通い続けたいといいます。

お店もお客さんも子ども達も、誰もが参加できる。この輪が広がることとで、「すべての子どもが、お腹いっぱいご飯を食べられる国」にすることがこのプロジェクトの目標です。

フードリボンプロジェクトは今後、子どもたちが歩いていける距離に最低1店舗作るため、「小学校区に1店舗」を目標に掲げます。そして、いずれは文化として定着させたいといいます。

フードリボンプロジェクト 橋本展行理事長
「極端に言えば、日本は、子供の貧困っていう問題はさまざまにあるかもしれないけど、少なくとも子どもがご飯に困る国ではないんだと。子どもたちは飲食店に行けば必ずご飯が食べられるっていう、そういう国なんだと。外国の人から『日本すごいな』っていう、そんな国を作りたいなと思っています」

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