自動運転車、人が乗っていない自転車を「自転車」と認識できず 接触事故受け調査、福井県永平寺町

自動運転車(左)と自転車が接触した事故を再現した場面(福井県永平寺町提供)

 福井県永平寺町で10月、特定の条件下でシステムだけで操作する「レベル4」で運行中の自動運転車が、停車中の自転車と接触した事故で、同町は11月10日、車両に搭載するカメラが、無人の自転車を「自転車」と認識できなかったことで、自動ブレーキが機能しなかったとする原因調査結果を公表した。町はカメラの認識性能を向上させる対策を実施。冬季運休期間が明ける来年3月以降の運行再開を目指す。

 事故は10月29日午前10時25分ごろ発生。同町志比の遊歩道「永平寺参ろーど」のすれ違い待避所付近で、運行中の自動運転車が道路脇に止めてあった無人の自転車と接触。乗客4人にけがはなかった。

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 自動運転車は、自転車を認識せず走行を続けたため、遠隔監視していた担当者が、自転車に接触する直前にシステム上で停止を指示したが接触。自動運転車のバンパーにある衝突を検知するスイッチが作動し緊急停止した。自動運転車の運行は中止している。

 町総合政策課によると、自動運転車は歩行者などを認識する前方カメラ、超音波センサーなどを装備し、障害物を検知すると自動でブレーキがかかる。ただ、待避所付近では、対向車の誤検知を抑えるため、前方カメラによる認識のみでブレーキが作動する仕組みだったという。

 町などはドライブレコーダーやセンサーの記録データなどを分析。前方カメラが、人が乗っていない状態で真後ろからとらえた自転車を自転車と認識できず、自動ブレーキがかからなかったと結論づけた。

 今後、前方カメラに無人の自転車を認識するための学習データを追加するなど認識性能を向上させるほか、待避所付近でも、いずれかのセンサーが検知した場合、自動ブレーキがかかるようにする。

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 町は「事故を重く受け止めしっかり対応し、自動運転がより安全で便利な移動手段として全国に広がっていけるよう尽力する」とコメントした。

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