クルーズ船

 コロナ禍前には見られなかった光景が、佐世保市の中心商店街に広がっている。大勢の外国人がアーケードを散策し、買い物をしている。この秋から佐世保にも頻繁に寄港するようになったクルーズ船の乗客たちだ▲どれほどの効果が出ているのか。佐世保商工会議所は各店舗などへの聞き取りを始めた。業種によってばらつきはあるが、通常の3、4倍の売り上げがあった菓子店や客単価が1万円を超える店も▲意外だったのは直売所。外国人にとって販売形式が珍しかったのか、果物や弁当を購入する人も多かったらしい▲観光関係者によると、以前は、船から降りるとすぐにバスに乗り込み、九十九島や佐賀県などの観光地に向かっていたという。それが、最近は港に近い商業施設やアーケード街を訪れるケースが多くなっている▲以前と違うのはクルーズ船の出発地。コロナ禍前は9割以上が中国からだったのが、コロナ禍後は欧米や台湾から来ている。客層が変わり、寄港地での過ごし方も変わってきているのかもしれない▲商工会議所は当面、聞き取りを続ける予定で、「データが集まれば傾向も見えてくるので、売り上げアップにつなげてもらいたい」と担当者。乗客にとって、佐世保を単なる接岸場所ではなく、買い物も観光も楽しめる町にしていきたい。(永)

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