『ゴジラ-1.0』『VIVANT』など人気作がロケ地に「浜松」を選ぶワケ “ロケ地探し”から“ロケ弁”まで!地方が“誘致”で得られる3つのメリット

11月、話題の新作映画『ゴジラ-1.0』が公開されましたが、実は一部のシーンが浜松市内で撮影されたのを知っていますか。浜松市は近年、多くの映画やドラマなどのロケ地に選ばれ、ここ2年で急増しています。「浜松市はなぜロケ地に選ばれる」のか、躍進の陰にはある団体の活躍がありました。11月3日から公開された『ゴジラ-1.0』。公開から8日目には、観客動員数が100万人を突破するなど、爆発的なスタートを記録しています。舞台は戦後の東京ですが、海の上のシーンは浜松市で撮影されました。

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“ノコル”が落ちた谷底も…

<山口駿平記者>
「浜名湖です。こちらで『ゴジラ-1.0』の撮影が行われ、まさにあのあたりにゴジラが出現したということです」

浜名湖のサービスエリアでは、過去作品のポスターが展示されるなどPRイベントが行われていて、多くのゴジラファンで賑わっています。

<ゴジラファン>
Q.きょうはどちらから?
「長野県岡谷市です。ゴジラグッズを買いに来ました」
Q.何箱変われたんですか?
「5箱です(笑)」

さらに、大ヒットドラマ『VIVANT』では、天竜区の小堀谷鍾乳洞が二宮和也さん演じるノコルが谷底で落ちたシーンで使われるなど、近年、ドラマや映画の撮影地として、浜松市は業界から人気を集めています。

2016年に365件だった浜松市へのロケ依頼数は、コロナ禍を乗り越え、2022年には505件にまで増加。ロケの誘致を行う浜松フィルムコミッションの活動に、浜松市のロケ急増を支える「3つの秘密」がありました。

「どうやって機材を搬入するか?」まで考える

<浜松フィルムコミッション 内山佳織さん>
「石畳で日本らしい場所で、いいですよね」

1つ目の秘密が「制作者目線のロケ地探し」です。通常、フィルムコミッションは作品側に対し、いつでも最適なロケ地を提案できるよう地域のあらゆるスポットをチェックしています。

しかし、浜松フィルムコミッションの場合は、きれいなロケーションを見つけるだけでなく、本当にこの場所でスムーズに撮影できるのかに気を配っています。

<浜松フィルムコミッション 内山佳織さん>
「駐車場からの距離、どうやって(機材を)搬入するかですとか、そういったものも気をつけながら見て回っています」

人通りの量は?カメラを置くスペースはあるか?制作側の視点に立つことがロケ地として選ばれるためには、大切なのです。

実写版『弱虫ペダル』のプロデューサーとして浜松市でロケを行った竹山昌利さんが浜松フィルムコミッションのロケ地探しについて話してくれました。

<『弱虫ペダル』ラインプロデューサー 竹山昌利さん>
「台本を読んだ上で『ここなんだな』っていう自発的なフィルムコミッション側が自発的にいいロケ地を紹介してくれるのが、浜松のフィルムコミッションだと思う。スタッフとフィルムコミッションが同じ目線で話ができている、ここが一番大きんだと思います」

演者の胃袋をつかんで…

大規模なロケを行うためには、地元の協力も必要です。それを得るための活動が2つ目の秘密です。

<浜松フィルムコミッション 原田憲治室長>
「街中でまたロケなんかを今後計画したいなと思うんですけど」

<御園井智三郎 浜松商店界連盟会長>
「一般的に(定休日が)水曜日って多いんで」

浜松フィルムコミッションは、定期的に自治会に顔を出し、意見交換を行っています。地元と密接な関係を築き、信頼を得ることが円滑にロケを進めるために重要です。

3つ目の秘密は、「食事」へのこだわりです。

<浜松フィルムコミッション 原田憲治室長>
「ロケ弁というのがロケの時は楽しみなので、ロケ弁のリストなんかも作って」

加熱するロケ誘致で人気の作品をゲットしたい。浜松市が考えた秘策はスタッフ、そして演者の胃袋をつかむことでした。

<山口駿平記者>
「三ヶ日みかんのソースに漬け込んだから揚げをいただきます。これが疲れるロケの間に出てきたら最高だと思います」

浜松フィルムコミッションでは、スタッフが気持ちよくロケに臨めるよう毎日違うロケ弁を提供しています。

特に三ヶ日町では、地元飲食店の全面バックアップのもと、地元の食材を使ったバラエティ豊富なロケ弁を提供しているそうです。地元の食材を食べてもらうことは、地域にとっても見返りがあります。

<浜松フィルムコミッション 原田憲治室長>
「(演者が)ロケ弁を食べたよとか(SNSで)つぶやいていただいたりすることがあってですね、そうすると売り上げの増加や地域活性化にもつながる」

作品ファーストで考える浜松フィルムコミッションの「細かい気配り」。これこそが浜松市でのロケ急増の理由だったというわけです。

誘致合戦は過熱の一途⁉

<浜松フィルムコミッション 原田憲治室長>
「どんどん業界の中で(浜松市の)口コミが高まって、今回、(『ゴジラ-1.0』に)選んでいただいたことにつながったと思いますので、これからも浜松の地域力・総合力で支援をどんどんどんどん加速させていきたいと思っています」

浜松市はなぜロケ地に選ばれるのか、その答えは「地元ぐるみによる浜松フィルムコミッションの細かな気配りがあるから」でした。

ロケを誘致すると自治体にとってはさまざまなメリットがあります。
▼1つ目は「聖地」となることでの観光客増加への期待
▼2つ目はVTRにもあったように地元飲食業への経済効果
▼3つ目は自治体のブランディング
長期的に見れば、人口増加にもつながるといえます。

近年、自治体の間でロケの誘致合戦は過熱していて、どうやって差別化し、ロケを呼び込めるかが、今後の自治体の課題になりそうです。

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