WBC世界一の栗山前監督、“侍魂”生徒に熱弁 足利で講演、大谷翔平選手との思い出も

客席で生徒に語りかける栗山さん

 野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表監督を務めた栗山英樹(くりやまひでき)さん(62)が15日、栃木県足利市多田木町の白鴎大足利高富田校舎で講演を行った。WBCの経験や大谷翔平(おおたにしょうへい)選手との思い出などを振り返り、「自分を信じてやり抜くことの大切さ」を熱く語った。同校舎は来年4月に本校舎と統合する予定で、その記念事業として開いた。

 プロ野球・日本ハムの監督就任以降は休職しているが、白鴎大教授でもある栗山さん。「諦めない力~夢をかなえるために~」の演題で講演し、全校生徒550人らが聴講した。

 栗山さんはWBC後、「なぜ世界一になれたのか」「なぜ調子の悪い(ヤクルトの)村上宗隆(むらかみむねたか)選手を信じ切れたのか」と周囲から聞かれたという。「その時の思いを伝えることで、みんなに元気になってもらいたい」と前置きし、生徒に語りかけた。

 「みんなが自分を捨て、チームのため、日本のために全力を尽くせば、世界一になると信じていた」と明かし、「誰もが自分でも気づかない力を持っている。それを信じてやり抜くことが大切」と力説した。

 大谷選手が日本ハムを移籍する際、「お世話になりました」とのメッセージを添えて描いたバスケットボール漫画「スラムダンク」の絵を紹介したほか、生徒の質問にもユーモアを交えて回答した。

 栗山さんは下野新聞社の取材に「生徒は集中力が高く、日本もまだまだ捨てたものではない」と講演を振り返った。将来を担う子どもたちに向け、「環境は支配されるものではなくて、支配するもの。自分の心を信じて前に進んでほしい」とエールを送った。

 約40年の歴史を持つ富田校舎は本年度で「閉校」する。伊勢南町に新校舎を建設し、来年4月から本校舎のあるメインキャンパスと一体化する。

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