ローマ教皇に嬉野市特産のうれしの茶を贈呈する出発式がこのほど、同市不動山地区で行われた。茶生産者や地元住民ら35人に見送られ、うれしの茶発祥の地からバチカンに向け茶葉と茶器が運び出された。
贈呈する品は蒸し製玉緑茶と釜炒(い)り茶、紅茶の3種類(各100グラム)と肥前吉田焼の段重とポットのセット。佐賀出身で煎茶の祖といわれる売茶翁が茶道具の持ち運びに使ったと伝わる籠の復元品に茶葉などを入れた。
式では村上大祐市長が「不動山地区は迫害を逃れたキリシタンが移り住んだと伝えられ、縁のある嬉野のお茶を今年も贈ることができ意義深いと感じている」とあいさつ。生産者を代表してJAさがみどり地区茶業部会の三根孝一部会長は「今年は全国品評会で11年ぶりに4冠になった。日本一のお茶を届けることができる」と期待を込めた。
江戸時代に迫害を受けたキリシタンにまつわる伝説や関連史跡が同地区に残っているのにちなみ、市が贈呈している。送り出した茶と茶器は、年明けにはバチカンに届く予定。(澤登滋)