後絶たない児童生徒へのわいせつ 栃木県内、11年間で教職員21人懲戒処分 SNSで私的交流も 県教委、再発防止へ啓発

教職員による児童生徒への性暴力などの根絶に向け開かれた臨時校長会。出席者は防止策を話し合った=10月下旬、県総合教育センター

 栃木県内小中学校で教職員による児童生徒へのわいせつ事案が後を絶たない。2013年度~23年11月17日までの約11年間に、性暴力などわいせつ関連で21人が懲戒処分を受けたことが17日までに、県教委への取材で分かった。本年度は既に4人の処分が発表された。21人のうち13人が交流サイト(SNS)で、禁止された児童生徒との私的なやりとりをしていたことも判明。県教委は「SNSは第三者が介在せず、事案がエスカレートするリスクが高まる」と危機感を募らせ、再発防止への意識啓発を強めている。

 県教委によると、21人はいずれも男性。20代が12人、30代が5人で、20~30代が8割を占めた。勤続年数は5年以内が14人で7割近くに上った。

 児童生徒との関係は14人が勤務先、7人が他校。淫行やキスなど「わいせつ行為」が14人、部活のマッサージで身体に触ることや「付き合おう」とメッセージを送る「不適切な行為」が4人、盗撮が3人だった。

 21人中、18人がスマートフォンやタブレット端末を使用。このうち13人は県教委などが禁止するSNSでの私的なやりとりを児童生徒としていた。

 年度別の懲戒処分は18年度の5人が最多。本年度に処分を受けた4人のうち、50代の小学校教諭は、校内で女子児童の尻などを触る行為を繰り返した。20代の教諭3人はそれぞれ、校内外で女子生徒にわいせつな行為をした。県教委の聞き取りに対し、50代教諭は「励ましのつもりだった」、20代の教諭3人は「好意があった」「わいせつ行為と理解していたが自制できなかった」などと話した。

 県教委は児童生徒とのSNSを原則禁止とはせず、「私的なやりとり」を禁じている。認められる行為として「不登校の子どもとのやりとり」を例示する一方、その他の具体的なケースは明示していない。

 私的なやりとりが生じる理由を「コミュニケーションを取っているうちに始まってしまうのでは」と指摘。「全教職員が不祥事を自分事と捉えないといけない」と説明した。

 相次ぐ不祥事を受け、県教委は10月下旬から臨時校長会を開き、SNSの私的なやりとり禁止や連携強化を周知した。県教委は「わいせつ事案にやむを得ないケースはない。現場の職員を含めて意見交換し、各校で再発防止策を定めるようにしたい」としている。

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