旅館、海岸線…絵はがきでたどる別府の変遷 来年の市制100周年にちなみ企画【大分県】

絵はがきや「良聞居」の所蔵品を通して、別府の100年の歩みを紹介している秋吉収さん=別府市末広町のトランジット

 【別府】「絵葉書(はがき)に見るわが町・別府温泉の変遷(旧市街地を中心に)」が、別府市末広町の市創造交流発信拠点「トランジット」で開かれている。別府で生まれ育った秋吉収(おさむ)さん(72)=南町=が、来年の市制100周年にちなみ、市民の立場から100年の変化を伝えようと企画した。26日まで。

 秋吉さんは祖父母の邸宅「良聞居(りょうぶんきょ)」(北浜)を維持、管理している。1862年に肥後藩代官所(大分市)として創建され、別府に移築されてからは俳人の高浜虚子が訪れるなど文人たちの文化活動の拠点だったことで知られる。邸宅の所蔵品約50点と、収集家の知人、井上敬さん(東京都)から寄託された絵はがき200点以上を展示している。

 「北浜かいわいの旅館・ホテル」、「海岸線の移り変わり」「郊外の遊園地」などテーマに分けて紹介。航路や鉄道、道路が整備されたことで姿を変えていく明治後期からの様子を、当時の地図などを時系列に並べ解説を加えた。洋画家の石井柏亭(はくてい)が別府の春を描いた掛け軸、明治から昭和までの土産品や古地図、パンフレットなども並ぶ。

 来場した市民は「戦災を免れた別府だからこそ残っていた建物も見られて面白い」「この時代に生きていたわけではないが不思議と懐かしく感じる」と話した。

 秋吉さんは「この町が100年余りでどのように変わったかを振り返り、温泉だけでない別府の魅力を知ることでこれからを考えるきっかけにしたい」と話している。

 入場は無料。開館時間は午前11時から午後5時まで。火、水曜日休み。

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