【マレーシア】豆腐の染野屋、海外2カ所目の拠点[食品]

染野屋のマレーシア拠点の開設式でテープカットをする高橋大使(右から2人目)、染野屋の小野社長兼CEO(右から1人目)、恵島氏(左から1人目)、スリー・ビジン・シスターズの恵島CEO(同2人目)=20日、クアラルンプール(NNA撮影)

豆腐など大豆製品の製造・販売を手がける染野屋(茨城県取手市)は20日、マレーシアの首都クアラルンプールで共同出資会社と豆腐工場の開設式を開いた。昨年始動したスペイン・バルセロナに続き2カ所目の海外拠点となる。

染野屋は、マレーシアですし店「織部」など複数の飲食店の運営やアプリ開発などを手がける実業家、恵島良太郎氏と、クアラルンプールに共同出資会社スリー・ビジン・シスターズを設立。日本式の豆腐工場を開設し、今月から試運転とテスト販売を開始した。「大江戸豆富」ブランドの豆腐など大豆製品を製造し、クアラルンプールを中心に販売する。

マレーシアは日本人が希望する海外移住先のランキングで1位となり、在留邦人は約2万5,000人に上る。染野屋によると、日本のおいしい豆腐を入手することが難しい中、同社のソーシャルメディアには多くの期待の声が届いているという。

現在、木綿豆腐(1丁15リンギ=約480円)、寄せ豆腐、湯葉、おから、豆乳を製造。日本人が多く住むクアラルンプール・モントキアラ地区で開催されるマーケットに出店しているほか、通信アプリのワッツアップを通じて注文を受け付けている。今後は、油揚げや厚揚げなど商品ラインアップを拡充するとともに、来年をめどに豆腐や豆乳を使用したスイーツや料理を提供するカフェの展開を計画している。また、豆腐の成分を原料に使った化粧品やサプリメントの展開も視野に入れている。

染野屋の小野篤人社長兼最高経営責任者(CEO)によると、恵島氏と共に7~8年前からマレーシアでの事業展開を計画していたという。小野氏は開設式のあいさつで、「環境保護の観点からベジタリアン(菜食主義者)やビーガン(完全菜食主義者)が世界的に増えており、大豆などプラントベース(植物由来)の食品は有望だ」とコメント。「健康的で環境にも優しく、おいしい本格的な日本の豆腐をマレーシア市場に投入できたことをうれしく思う」と述べた。

「大江戸豆富」ブランドの豆腐を使用した料理とスイーツ=20日、クアラルンプール(NNA撮影)

スリー・ビジン・シスターズの恵島真理子CEOは、「マレーシアでは工場への機械の搬入やライセンスの取得など多くの困難があったが、ようやく工場開設にこぎ着けた」とコメント。今月5日に開催された日本人会チャリティーバザーで豆腐を先行販売したところ、好評を得たとし、在留邦人やマレーシアの消費者に本格的な日本の豆腐を提供していきたいと意気込みを語った。

開設式に出席した高橋克彦駐マレーシア日本大使は、2013年に和食が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことに言及。マレーシアの日本食レストラン数は昨年時点で1,900店近くに上り、華人系を中心に日本食や日本産食品の消費が拡大しており、マレー系など他の民族にも拡大しつつあるとし、「家庭でも日本の伝統的な手法で作られた豆腐を味わってもらいたい」と話した。

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