金沢発アニメ、米エミー賞 稲田さんら3人に個人賞

米エミー賞の個人賞に輝いた稲田さん(右)。中央が橋爪さん、左は宮田さん=今年3月、金沢市役所

  ●ONI~神々山のおなり~、アニー賞に続き

 米テレビ界最高の栄誉とされる第75回エミー賞のアニメ部門で、金沢と米カリフォルニアにスタジオを構えるトンコハウスの長編アニメ「ONI~神々山のおなり」の制作陣3人が個人賞を受けた。アートチームとして、金沢市尾張町2丁目のスタジオで色の設定などに携わった稲田雅徳さんも受賞。「ONI」は作品賞、監督賞でもノミネートされており、金沢発のアニメが、2月の米アニー賞に続き世界での評価を高めている。

  ●「トンコハウス」尾張町にスタジオ

 トンコハウス・ジャパンの宮田人司共同代表が22日、北國新聞社の取材に受賞を明らかにした。

 エミー賞は、映画のアカデミー賞、演劇のトニー賞、音楽のグラミー賞に相当する文化賞の一つ。宮田氏によると、ハリウッドのストライキの影響で開催が遅れていた授賞式が12月17、18日に決定。それに先立ち、個人賞のみ関係者に伝えられたという。

 ONIチームからは、トンコハウスのロバート・コンドウCEO(最高経営責任者)が「プロダクションデザイナー」、稲田さんとリア・ティンさんが「ビジュアルディベロップメントアーティスト」を受賞した。

  ●作品賞にも期待

 作品は今年2月、アニメ界のアカデミー賞とされるアニー賞で、作品賞(限定シリーズ)、プロダクションデザイン賞の2冠に輝いた。今回も子ども向けアニメシリーズの枠で、「ベイマックス」などディズニー4作品と肩を並べて作品賞にノミネートされ、監督、主人公の声優も受賞候補となっており、授賞式に合わせて発表される予定だ。

 稲田さんは金澤町家を改修した尾張町2丁目のスタジオで、橋爪陽平さんとともに作品の光や色のデザインを担当した。近江町市場のアーケードや兼六園、夜の片町などもモチーフとなり、作中に登場している。

 宮田氏は、動画配信サービスの台頭でアニメ作品が増えているとし「世界に何千とある作品のベスト5に入り、大変励みになる」と話した。既に次回作の制作が進んでおり「金沢には優秀な人がいっぱいいる。一緒に世界を目指す仲間になってほしい」と呼び掛けた。

 「ONI」はNetflix(ネットフリックス)で配信されている。

 ★「ONI~神々山のおなり」 やおよろずの神々や妖怪がすむ神々山を舞台に、英雄に憧れるおてんば娘「おなり」が「ONI」の脅威から山を守るため奮闘する物語。ピクサー出身で、2014年にトンコハウスを創設した堤大介さんが監督を務めた。

「ONI~神々山のおなり」の一場面(Netflixで配信中)

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