封筒を開けるとなんと他人の“検便”が! 会社に届いた健康診断の検査キット 誤発送に病院は平謝り

社員の健康診断に使うため、病院から会社に届いたのは「未使用の検査キット」が入った封筒…しかし1つの封筒を開けると、なんとそこには「採取済みの検便」が! いったいなぜ、こんなことが起きてしまったのでしょうか?

11月16日。鹿児島県鹿屋市のある会社で、50代の総務部長の男性が、社員の健康診断を依頼している鹿児島市内の病院から送られてきた検査キットが入った封筒を開けました。

すると! なんとそこには、他人がすでに採取した検便が入っていたのです!

検便キットの緑色のパッケージには、採便日が「11月6日」と「11月7日」との記載、そして鹿児島県内に住む71歳の女性の名前が書かれていました。

封筒の中にはほかに、問診票や検尿キットなども入っていましたが、すべて未記入、未使用のものでした。

総務部長の男性は、社員ら約90人に職務として封筒を配る前に、まず自分の封筒を開けたところ、この前代未聞の”混入騒ぎ”となったのです。

「目を疑いました。私の会社には外国人社員もいるので、健康診断の始まる時期には検査キットの使い方を毎年私が説明します。年によって仕様が変わることがあり、外国人社員には特に使い方を丁寧に説明する必要があるのです。その際、自分の封筒を開けて、中に入っている検査キットを手にするわけですが、私だけでなく、目の前にいた社員たちも大騒ぎになりました。誰もこんなことは経験したこともないし、聞いたことがありません。検査キットの入る封筒を送ってきた病院には、毎年、巡回検診でお世話になっています。しかし、今回のことで、提出しても実際は検査されていない検体も過去にはあったのでは?と疑いたくなりました」と男性は話します。

病院は、検便キットが「未使用だ」と思い込んで男性の会社に発送

この事態を受けて、すぐに病院に連絡すると、医事課の担当責任者らが会社を訪れ『申し訳ありませんでした』と謝罪。その際、全社員の封筒をその場で回収し、新たな検尿と検便のキットにすべて入れ替えたということです。

ほかに検査済みキットの混入はなかったと病院側は話したということですが、40代の社員に義務付けている検便キットが2人分入っていなかったことが新たに分かったということです。

「健康診断は社員を守るためにしっかり行っていくべき会社側の責務です。今回のミスで、病院への不信感が…」と、この総務部長の男性は顔を曇らせました。

ではどうして、他人が採取した検便が届いてしまったのか?

CBCテレビの取材に対する病院側の説明によりますと、71歳の女性は初め、「今回の検便は希望しない」と病院に伝えていて、病院から女性宅に届けられた検便キットは使わずに、健康診断の当日に病院の受付で返却することになっていたとのこと。しかし実際には、自宅に届けられた検便キットで便を採取して病院に提出していました。

病院では通常、返却された未使用の検査キットは病院で一時保管し、新たな発送先に回すことにしていますが、今回、女性の検査キットを回収した際に、検便キットについても「未使用だ」と思い込み、すでに採取済みであることを見落としてしまいました。そして、「未使用のキット」として、男性の会社に発送してしまったということです。

他人の検便が会社に届く 男性「確認が甘いとしか言いようがない」

71歳の女性は耳が不自由で、手話通訳者を介して「健康診断の内容」や「自分の希望」を病院側に伝えていましたが、やり取りする中で行き違いが起きてしまったのだということです。

病院の担当者は取材に対して、「逆に、検査をするとおっしゃる方で検査をしない方もいらっしゃって、検査キットの配布については気をもむケースが時折あります」と話していました。

今回のような検便キットの場合、病院が検体を受け取った2~3日後には分析にかけるということですが、女性の検体は正しく分析できない日数を経て、男性の会社に届いていました。病院は今後、女性にも事情説明した上で謝罪し、あらためて検査を希望するかどうか確認する方針だということです。

他人の検便が届いた男性は、「確認が甘いとしか言いようがありませんが、誰にとっても大事な検体ですので、医療関係者の皆さんは気をひきしめていただければ。もしも検体に重大な病のシグナルが含まれていたとしたら、命にもかかわるよねと社員たちと言っていたんです」と話していました。

何事もコミュニケーションは大事…確認は非常に大事という出来事でした。

© CBCテレビ