クラゲさん、やっと会えた 鶴岡・加茂水族館、停電から6日ぶり再開

6日ぶりに営業を再開した鶴岡市立加茂水族館でクラゲに見入る来館者=鶴岡市

 停電の影響で臨時休館していた鶴岡市立加茂水族館が23日、6日ぶりに営業を再開した。送電ケーブルの不具合で停電し、復旧まで137時間余り。この間、非常電源で乗り切り、世界で唯一、同館で展示されている「エチゼンクラゲ」を含む約80種のクラゲや海獣などに影響はなかった。再開告知が22日夜にもかかわらず、待ちわびたファンら約1300人が訪れ、館内を巡った。

 停電は18日午前1時半ごろに発生した。荒天や落雷の影響で送電ケーブルに不具合が生じたことが原因とみられる。暴風で高所作業が進まず、部品調達に時間を要し、復旧は22日午後7時20分ごろとなった。停電時間としては、同館が経験したことのない長さだったという。

 加茂水族館はクラゲの水族館として全国的に有名で、「エチゼンクラゲ」のほか、オーストリアのシェーンブルン動物園から譲り受けたクラゲ「アクロミタス・タンカーキー(学名)」を展示するなど、珍しいクラゲは多い。クラゲの水槽は水の循環や酸素の供給、温度管理で電力が欠かせず、リニューアル前から備えていた非常電源で対応した。

 この日、午前9時の開館前から長い列ができた。最前列にいた滝謙一さん(65)=東京都世田谷区、無職=は約20分前から並んだ。初めて妻を連れてきたといい「鶴岡を観光するのに加茂水族館は欠かせない」。復旧を知って22日に急きょ旅行計画を立て「無事にクラゲを見ることができ、良かった」と笑顔を見せた。

 年間パスポートを持つ佐藤里美さん(41)=同市大山、公務員=にとって、同館は子どもの遊び場の一つ。「インスタグラムで停電を知り、再開を心待ちにしていた」と話し、長男の愛樹(あいき)ちゃん(4)次男の優月(ゆづき)ちゃん(1)と一緒にクラゲの姿を楽しんでいた。

 奥泉和也館長は「非常電源のおかげで館内の生き物に被害はなかった」とほっとした様子。「これからも皆さんに愛される水族館となれるよう、魅力ある展示に力を入れたい」と話した。

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