長崎県内の維新3市議 「パワハラ」を主張 県総支部執行部は否定 衆院選前に“内紛”…足場乱れ

維新からの離党を表明する3市議=県庁

 日本維新の会からの離党の意向を示していた長崎、大村両市議3人は24日、長崎市内で会見し、離党届を提出したと発表した。党県総支部執行部から「パワハラ行為や、いやがらせを受けた」などと主張するが、執行部は「事実と大きく違う」と否定。党は今年春の統一地方選で県内初の議席を獲得し、次期衆院選に向けて党勢拡大を急いでいるが、“内紛”で足場が乱れる格好となった。
 離党する3人は長崎の梅本圭介市議(55)と都留康敏市議(34)、大村の中村仁飛市議(33)。いずれも4月の両市議選で初当選した。
 会見では、市議選前から政治活動での要望などが受け入れられず、複数の執行部幹部から「怒鳴られた」「どう喝を受けた」などと主張。性的少数者(LGBTQ)を公表している都留氏に対して「人格攻撃が相次いだ」と訴えた。
 今月1日に県総支部代表の井上英孝衆院議員(大阪1区)に執行部の刷新を求める嘆願書を提出したが、認められなかった。18日の総支部役員会では出席者の1人が「ポンコツの3人(市議)は除名したらいい」と発言。3人は「健全な組織運営ではない」と判断し離党を決めたという。
 これに対し、県総支部の山田博司幹事長らは報道陣に「(選挙活動の)指導や激励はあったが、パワハラの認識はない」と反論。都留氏への人格攻撃も「ない」と否定した。一方、役員会で「ポンコツ」という発言はあったと認めた。
 県内で維新は昨年5月、県総支部を設立。県議選や市議選に公認候補を積極的に擁立して念願の議席を獲得した。地方議員を中心にさらに支持を広げ、国政選挙での躍進を目指していた。
 離党を表明した3人は地域政党「ながさき次世代の党」の結成も発表。「今も維新の理念や政策には共感している」としつつ、次期衆院選は他党を支援することを含め「是々非々」としている。
 衆院選長崎1区で出馬予定の山田氏は、3人の離党が与える影響は「多少ある」と認める。地域に根差す地方議員を増やしつつ、党勢拡大を図る選挙戦略は振り出しに戻った。

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