「筋違いの恨み、類例なき凄惨な事件」と検察側 京アニ裁判量刑審理始まる

青葉真司被告

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第17回公判が27日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。今回から量刑に関わる情状面の審理に移り、冒頭陳述で検察側は「類例なき凄惨(せいさん)な大量放火殺人事件だ」とし、被害結果の重大性を強調した。一方、弁護側は死刑が求刑される可能性に触れ、裁判員らに慎重な判断を求めた。

 公判は長期に及び、事件の経緯と動機▽刑事責任能力▽量刑―に区分けして審理が進められている。冒頭陳述は3回目となる。

 検察側は、事件について「筋違いの恨みによる復(ふく)讐(しゅう)」と改めて指摘。「被害者が負った肉体的苦痛や精神的苦痛、恐怖、絶望感、無念さ」を挙げ、被害結果の重大性などを重視すべきとした。ガソリンという手段を用いた点にも触れ、犯行の悪質性や残虐性も強調した。

 一方、弁護側は、死刑の選択に当たって「なぜ人を殺すことなのに死刑が認められているのか考えながら審理してほしい」などと言及した。

 この日から始まった量刑に関する審理では、法廷で遺族らが意見を述べたり、被告に直接質問したりする機会も設けられる。公判は12月7日に求刑を含めて最終論告と最終弁論があり、結審する予定。

© 株式会社京都新聞社