大石さん(山形市職員)4冠、次は世界へ アジアマスターズ陸上、2種目大会新

アジアマスターズ陸上競技選手権で4冠を果たした大石唯さん=山形市男女共同参画センター

 フィリピンで8~12日に開かれた第22回アジアマスターズ陸上競技選手権の男子35~39歳の部で、山形市職員の大石唯さん(38)=同市桧町3丁目=が短距離やリレーの計4種目で優勝した。うち100メートルは10秒81、200メートルは21秒98で大会新記録をマーク。仕事や子育ての合間に技術を磨き、「世界マスターズでも勝ちたい」と意欲的だ。

 アジアマスターズは2年に1度開かれ、35歳以上が対象。事前に選考レースを経ないが、元五輪メダリストや各国の元代表選手など実力者が出場する。

 大石さんは得意の100メートルの決勝で、2位以下を大きく引き離してゴール。200メートルでもスリランカのトップ選手から逃げ切り、1位になった。「科学的根拠に基づいて練習してきたので、自信があった」と振り返る。

 大石さんは、天童三中から山形大大学院まで陸上部で短距離に取り組んできた。就職後も競技は継続したが一時中断し、4年前に復帰した。練習は勤務後。学生時代と比べ筋力が落ちた分、技術力の向上を目指した。スポーツに関する論文を読み、自身の走る動画を見るなどして研究も重ねた。今年は、大学院時代に残した自己ベストの10秒46に近い、10秒70の記録も出した。

 山形陸上競技協会は「一般的に年齢とともに記録は落ちるが、大石さんは安定した力で素晴らしい成績を収めた」とたたえた。

 原動力は幼い娘たちの笑顔と応援という。今大会で海外選手らに刺激も受けた。大石さんは来年開かれる世界マスターズ陸上競技選手権への出場を視野に入れており、「100メートル走に絞り、世界一を目指す」と語った。

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