岩手県内、クマの捕獲820頭 3年ぶりに目安の上限超

 

 岩手県は27日、盛岡市内でツキノワグマの緊急対策会議を初めて開いた。出没や人的被害の多発を受け、本年度の捕獲数は820頭(20日時点)に上り、目安となる上限(686頭)を3年ぶりに超えたと報告。専門家は人里に慣れた個体は「冬眠」が遅くなる可能性があるとして、引き続き警戒が必要と指摘した。

 市町村、猟友会、大学の関係者らが出席し、県が捕獲状況を説明した。2021年度は上限に対する捕獲率が84.4%、22年度は66.9%だったが、23年度は上限に到達。複数年で調整しながら適切に個体数を管理する方向性を確認した。

 今秋は餌となるブナが大凶作で、クマの行動範囲が広がっているとみられ、26日時点の人的被害は過去最多の44件47人。県は、市町村の判断で迅速に捕獲できる特例許可を拡大するなど被害防止策を進めている。

© 株式会社岩手日報社