捜査、捜索に効果発揮 県警「110番映像通報」、運用開始から1年経過

 事件、事故や災害などの通報時に現場などの画像を送ることができる、県警の「110番映像通報システム」が運用開始から1年が経過した。県警によると「高齢者ら行方不明者の捜索、事件の容疑者確保などの迅速化につながったケースもある」という。幅広い世代にスマートフォンが普及し、より利用しやすい環境が整いつつあり、県警はさらなる有効活用を県民に呼びかけていく。

 全国の各警察本部が昨年10月から試験運用し、今年4月に本格導入した。通報者は、110番通報後、通信指令室から専用URLを受け取り、スマホなどで撮影した画像や動画を送ることができる仕組みだ。県警通信指令課によると、10月末現在99件(速報値)で活用されている。高齢者などの行方不明者捜索が最多の52件で、交通事故の通報、不審者情報などの提供がいずれも14件、窃盗などの事件に関する通報は12件だ。

 今年9月下旬、酒田署管内で山岳遭難事案が発生。遭難した女性は現在地の写真などを県警の通信指令室に送信した。音声のみの通報よりも正確な位置と周辺状況が把握できたという。女性は通報から約4時間で素早く救助された。「事件捜査でも有効性は確認されている」と同課の担当者。米沢署管内で今年5月、10代の女性が面識のない男から体を触られたとされる強制わいせつ事件が発生した。通報者は容疑者の特定につながる映像も提供。身柄の早期確保につながったという。

 高齢者などの行方不明者の捜索では、通報者から提供された対象者の顔写真などを迅速に共有することが可能となった。捜索開始までの時間短縮が図られ、早期発見につながっている。同課は「動画や画像を通報者と現場の警察官、捜査員が共有することで、より的確で早い対応が可能になることが期待される」と強調。スマホが、お年寄りも含め、急速に普及していることもあり、県警は最新のシステムの活用を広げ、さらなる県民の安全、安心の確保につなげる。

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