英経済誌「エコノミスト」の調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が11月30日に発表した「2023年版世界主要都市の生活費ランキング」で、シンガポールはスイスのチューリヒと並んで1位だった。輸送費などが世界最高水準で、2年連続首位となった。
EIUは今年8月14日から9月11日にかけて、世界173都市を対象に200種類以上の商品・サービスの価格を比較した。米ドル建てのため、為替変動が順位に影響する。指数はニューヨークを100として計算している。
今年は引き続き世界的なインフレの影響で全体の指数は現地通貨建てで平均7.4%上昇。伸び率は過去20年間で最大だった22年の8.1%から下がったものの、17~21年の年平均を上回る水準となった。
シンガポールは過去11年で9回目の1位となった。指数は昨年に同率首位だった米国ニューヨークを4ポイント上回る104。車両規制の影響で輸送費が世界でも最高水準だったほか、衣料品、酒類、たばこの価格も世界最高だった。
アジアの都市では香港も5位と順位が高かった。一方、調査対象となった中国の19都市は全て順位を下げた。新型コロナウイルス流行後の景気回復の遅れのほか、消費低迷、人民元安が主因だ。
日本は大阪が前年の43位から70位、東京が37位から60位へとそれぞれ大きく順位を下げた。金利が低水準であることや円安が進んだことが背景にある。