全国旅行支援クーポンの決済状況公開、消費動向をマップで可視化 福井県観光連盟、金額や客層の区分可能

福井県福井市街地での全国旅行支援のクーポン決済状況を示すマップ

 福井県観光連盟は12月1日から、今年1月から8月にかけて全国旅行支援で県が配布した「ふくいdeお得クーポン」の決済状況を可視化した地図を連盟ホームページ(HP)で公開する。同連盟によると、全国旅行支援のクーポン決済状況の公開は全国初の取り組み。観光客が県内のどこで、何にお金を使っているかといった消費動向が分かり、北陸新幹線県内延伸を見据えた事業者の事業立案での活用を期待している。

 同クーポンは宿泊施設などで配布され、観光客は登録している土産物店や飲食店、タクシーなどで1千~2千円分の割引きが受けられる。地図では今年1月10日から8月5日までの利用状況を公開。各エリアごとの赤い円の大きさで決済金額を示し、飲食店や小売店、観光施設、コンビニ・スーパーなどの業態ごとの利用金額も分かる。利用期間、観光客の都道府県や性別、年代による区分も可能となっている。

 県内で最も利用が多かったのは、JR福井駅周辺と繁華街「片町」の一帯で合計で1億3千万円近く。JR敦賀駅周辺でも約4千万円の利用があった。同連盟の担当者は「まだ自家用車による旅行が多い中でも、観光客が福井、敦賀駅周辺に集中していたことがあらためて確認できた。新幹線延伸後に向けて駅周辺で観光ビジネスを検討する上での材料になるのではないか」と話す。

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 一方、同じく新幹線が停車するJR芦原温泉駅周辺での利用は約600万円。温泉街のあわら湯のまち駅周辺の約5300万円との差が目立った。「他の新幹線停車駅と比べて伸びしろがあるととらえることもできる」と指摘する。

 ほかにも消費金額の大きさに対し、コンビニ・スーパーでの利用が目立つエリアには「地域色が強い商品に対するニーズが眠っている可能性がある」と分析している。

 地図データは、県観光公式サイト「ふくいドットコム」内に昨年3月開設された県観光データ分析システム「FTAS(エフタス)」の中で公開する。同連盟では県内主要観光地で収集した観光客アンケートの結果なども既に公開し、県内観光事業でのデータに裏付けされた実態把握とマーケティングを推進している。

 県観光連盟の佐竹正範・観光地域づくりマネージャーは「北陸新幹線県内開業に向けて『稼ぐ観光』を実現するためには、民間企業の商品、サービスの提供が重要。これまで県内客をメインにしてきた飲食店や小売店が、観光客向けに商品やサービスを提供をしていくための参考にしてもらいたい」と話している。

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