TOPPANが買収 JOLED能美事業所 年明け以降引き渡し

3月末に経営破綻したJOLEDの能美事業所=5日正午、能美市岩内町

 TOPPANホールディングス(旧凸版印刷、東京)は5日、3月末に経営破綻したJOLED(ジェイオーレッド、東京)の能美事業所(能美市)を買収したと発表した。主にデータセンターのサーバーや生成AI(人工知能)向けで需要が高まっている半導体関連の開発、生産拠点として再整備し、2027年以降の稼働を目指す。

 TOPPANは11月28日付でJOLED能美事業所の土地と建屋の売買契約を結んだ。買収額は非公表。年明け以降に引き渡され、能美事業所の従業員約30人はそれまでに解雇となる。TOPPAN側は新工場での雇用も含め、検討するとみられる。

 TOPPANが能美の新工場で生産するのは、プリント配線板と大規模集積回路(LSI)をつなぐ高密度半導体パッケージの「FC―BGA」。社会のデジタル化に伴い、高速の大容量伝送に対応した次世代半導体部材の需要が高まっているのに対し、同社は新潟工場(新潟県新発田市)の生産能力を25年度までに22年度比で倍増させる目標を掲げている。

 ただ、新潟はこれ以上拡張の余地がないため、能美でも増強後の新潟と同規模の生産量を目指す考え。

 JOLEDはソニーグループとパナソニックホールディングスの有機ELパネル開発部門を統合して15年に設立された。今年3月に経営破綻し、負債総額は約337億円に上った。

 能美事業所は11年に建設され、鉄骨造り地上9階、地下1階。JOLEDの筆頭株主である政府系ファンド産業革新機構(現INCJ)が、18年に液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)から200億円で譲渡された。JOLEDはINCJの現物出資を受け、有機ELパネル用の量産ラインを整備していた。

 能美市の井出敏朗市長は現時点でTOPPAN側から説明はないとした上で、「新たな企業の進出は雇用創出をはじめ地域活性化に資する」と述べ、石川県と連携しながら情報の把握に努める考えを示した。

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