【マレーシア】地場がん協会、住商傘下企業などと提携[医薬]

アジアのがん治療の向上などに取り組むアジアがんフォーラム(ACF、東京都世田谷区)は5日、マレーシアでがん対策などの啓発を行うマレーシア対がん協会(NCSM)、住友商事グループの傘下企業3社と覚書を締結したと発表した。マレーシアのヘルスケア事業領域の潜在的需要と機会を模索する目的で、将来的に医療アクセスの改善などにも取り組む。

アジアがんフォーラムは5日、マレーシア対がん協会と住友商事グループの傘下企業3社と覚書を締結した(アジアがんフォーラム提供)

覚書は、アジアがんフォーラムやマレーシア対がん協会、住友商事グループで「マネージドケア」事業を展開するマレーシアのPMケアとメディエクスプレス(マレーシア)、マネージドケア事業の持ち株会社SCヘルスケアホールディングスの5社・組織が締結した。マネージドケア事業とは、医療機関や医療保険会社などが連携して患者に医療サービスを提供する仕組み。

提携を通じて、マレーシア国民のがんに対するリテラシー(知識)を高めるほか、がん検診の推進、がんに関するデータの収集、調査、分析を実施する。

将来的には、がんの予防領域だけでなく治療領域についても調査研究を行い、マレーシアでの医療アクセスの改善につなげる。また、医療や介護の国際展開を検討する日系企業との学際的・国際的な連携を行う。得られた知見やノウハウを生かし、日本の医療サービスのさらなる質向上に貢献することを目指す。

アジアがんフォーラムによると、マレーシアは上位中所得国でありながら国レベルのがん対策やデータベースが不足している。また、年間の新規がん罹患(りかん)数が2万人を超えており、心血管疾患に次いで、死因の2位となっている。2012~16年のがん登録者で診断時のがんのステージを報告した5万8,635人のうち、63.7%がステージ3または4(がんがリンパ節や他の臓器に転移している状態)と診断されている。

アジアがんフォーラムは昨年から、マレーシア対がん協会と共にマレーシアでコミュニティー参加型のがん疾患啓発、適切な医療サービスへのアクセス改善を支援することを目的としたプログラム「BEAUTY・アンド・ヘルス」を推進していた。

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