事故抑止へ各地で講習 県安協マロニエ号、出張8000回超 年200回目標で活用呼びかけ

マロニエ号と県交通安全協会の交通安全教育指導員=4日午前、宇都宮市中岡本町

 幼稚園や小学校などに出向く県交通安全協会の巡回車「マロニエ号」が、地道に息長く活躍を続けている。1992年の運用開始から31年。紙芝居で横断歩道の渡り方などを伝える安全教室は、延べ8千回を超えた。年間の活動回数は2000年の376回をピークに減少が続く。新型コロナウイルス禍では激減したが、今年は11月現在、前年を上回る145回に増えた。今後は高齢者教育にも注力する。同協会は年間200回の実施を目指して取り組みを周知し、広く活用を呼びかけている。

 ホワイトボードに張られた手作りの信号機や横断歩道。4日午前、宇都宮市中岡本町の岡本幼稚園。体育館に集まった園児約250人に、同協会の職員3人が語りかけた。「横断歩道を渡る時は手を上げましょう」。指導員が右手を上げると、園児もまねして手を上げ、交通ルールを学んだ。 マロニエ号は92年、同協会が県警から委託を受け、「交通安全教育車」として運用が始まった。大型バスのサイズで、側面のボディーが開くとステージになる。車内には模擬運転台が5台設置され、運転適性検査を受けられる。

 目的は交通安全の無料の出張教室。現在は3人で県内各地を回る。出張先は幼稚園や保育園が6割を占め、小学校が3割程度という。

 初期は6人態勢で、交通安全教室の実施回数は2000年の376件が最多。その後、4人態勢への縮小も影響して200回台となり、19年は178回。新型コロナウイルス禍の20年は99件に激減した。しかし、21年は127回、22年は144回と増え、コロナが「5類」に移行した23年は11月末現在、昨年とほぼ同数の145回に上る。

 幼児向けでは、内容を横断歩道の渡り方や信号機の見方などに絞る。同協会の弓田哲司(ゆみたてつじ)交通安全教育課長補佐は「交通安全意識が芽生えたばかりの子どもたちに毎年繰り返し、交通ルールを伝えることに意味がある」と説く。「交通事故は怖い。命は大切と伝えたい」と話す。

 県内では高齢者が関係する交通事故が増えている。コロナ禍の影響で老人クラブなどへの訪問が難しくなっていたが、今後は高齢ドライバーに向けた講習も計画している。弓田さんは「マロニエ号から交通安全を発信し、少しでも事故を減らしたい」と強調した。

手作りの横断歩道などで園児たちに交通ルールを教える交通安全教育指導員=4日午前、宇都宮市中岡本町

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