蓮如直筆の掛け軸修復 中能登町文化財、乗念寺でお披露目

修復された軸を見る関係者=中能登町能登部下の乗念寺

 中能登町能登部下の浄土真宗本願寺派乗念寺(じょうねんじ)は、浄土真宗の中興の祖・蓮如上人が室町時代中期に書いたと伝わる掛け軸3幅を修復した。町文化財に指定されているが、修復は100年以上さかのぼる。8日に同寺でお披露目会が開かれ、門徒らが信仰の証しを後世に伝える思いを新たにした。

 掛け軸の一つは縦95センチ、横38センチで、六字名号(ろくじみょうごう)「南無阿弥陀仏」と記されている。もう二つは縦96センチ、横34センチで、「正信偈(しょうしんげ)」の一部が書かれている。寺や郷土史料によると、蓮如上人が北陸を訪れた際、弟子となった乗念寺の6代目住職が譲り受けたと伝わる。

 23代目住職の暁星光(あけぼしひかり)さん(50)が汚れが目立つことから修復を思い立ち、文化財修復を手掛ける中越表具店(金沢市)の中越一成代表(79)に依頼した。今年9月から、表面のすすを取り除き、和紙で補強する作業が進められた。中越さんは「100年以上は修復されていない」とする。

 お披露目会に立ち会った宮下為幸町長は「歴史を感じる」と掛け軸に見入り、暁星住職は「今後も大切に保管していきたい」と話した。

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