ハタハタ田楽、苦心して 鶴岡・鮮魚店、大黒様のお歳夜で作業

不漁で鮮魚店などが苦心して確保し、じっくりと焼き上げられるハタハタ=鶴岡市・梅津鮮魚店

 大黒様が年を越し妻を迎えるとされる「大黒様のお歳夜(としや)」の9日、鶴岡市内の鮮魚店では子持ちのハタハタの田楽作りが盛んに行われた。庄内沖のハタハタは3年連続の不漁だが、子孫繁栄を願いこの日に食べる庄内地方の風習に合わせ、鮮魚店などは苦心して確保し、早朝から作業した。

 県のまとめでは、今年9~11月の漁獲量は計1.4トンにとどまり、11月は平年比で99%減となった。同市本町3丁目の梅津鮮魚店は秋田産の約120キロを手に入れ、午前5時から焼き始めた。20~30分をかけてじっくりと火を通し、焼き上がると手作りのみそだれを塗って仕上げた。

 秋田産も仕入れ値が4~5割ほど上がるなど確保に苦労したという店主の梅津亮一さん(60)は、「お客さんに喜んでもらいたいとの思いで今年も用意した」と話した。「ハタハタを味わい、来年を良い年にしてほしい」と、心を込めて作業していた。

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