ズワイガニ漁獲量が過去10年で最低 11月の兵庫・但馬、しけで出漁減 単価は2番目の高値

水揚げされた松葉ガニを選別する女性=11月6日、浜坂漁港

 県但馬水産事務所は11日、但馬地域で11月に水揚げされたズワイガニの漁獲実績をまとめた。雌雄合わせた漁獲量は23万9200キロ(前年同月比16%減)と、過去10年で最低を記録。しけで出漁機会が減ったことなどが影響し、3年連続の記録的不漁となっている。(長谷部崇)

 1キロ当たり単価は7581円(同7%増)で、過去10年では2021年11月(7976円)に次ぐ高値だったが、漁獲金額は18億1327万円(同10%減)にとどまった。11月の漁獲金額が20億円に届かなかったのは19年以来4年ぶり。

 雄(松葉ガニ)の漁獲量は、過去10年で2番目に少ない11万4352キロ(同13%減)。漁獲金額は12億2491万円(同6%減)で、1キロ当たりの単価は1万712円(同8%増)だった。一方、雌(セコガニ)の漁獲量は、過去10年で最低の12万4848キロ(同18%減)。漁獲金額は5億8836万円(同17%減)で、1キロ当たりの単価は4713円(同2%増)だった。

 但馬漁協香住支所の澤田敏幸次長(55)は「エルニーニョ現象の影響か、今年の海は気象状況が例年と異なる」と話す。しけで出漁できなかったり、沖に出ても強風で操業できなかったりと、気象条件が悪く、1隻当たりの漁獲量も減っているという。

 「特にセコガニの価格が心配」と澤田次長。例年、ズワイガニは年末にかけて価格が高騰していくが、今年のセコガニは12月に入って値が下落。北海道のオオズワイガニが流通している影響とみられるという。

 今季の但馬地域の沖合底引き網漁船は柴山と香住で各1隻減り、計37隻。ズワイガニの漁期は、雄が来年3月20日まで、雌が今年12月末まで。

### ■但馬各港の水揚げ量・金額

 但馬地域で11月に水揚げされたズワイガニの漁獲実績で、但馬各港(津居山、柴山、香住、浜坂漁協)の水揚げ量や水揚げ金額、1キロ当たりの単価は次の通り(カッコ内は前年同月比)。

 【津居山】 水揚げ量=雄2万8483キロ(25%減)、雌2万9730キロ(7%減)、全体5万8213キロ(17%減)▽水揚げ金額=雄3億1304万円(11%減)、雌1億3675万円(9%減)、全体4億4978万円(11%減)▽1キロ当たり単価=雄1万990円(18%増)、雌4600円(2%減)、全体7727円(7%増)

 【柴山】 水揚げ量=雄2万9479キロ(10%減)、雌2万5243キロ(1%減)、全体5万4721キロ(6%減)▽水揚げ金額=雄2億8772万円(3%減)、雌1億2200万円(3%増)、全体4億973万円(2%減)▽1キロ当たり単価=雄9760円(7%増)、雌4833円(3%増)、全体7487円(5%増)

 【香住】 水揚げ量=雄1万4049キロ(25%減)、雌1万5313キロ(41%減)、全体2万9362キロ(34%減)▽水揚げ金額=雄1億4526万円(24%減)、雌7537万円(44%減)、全体2億2063万円(32%減)▽1キロ当たり単価=雄1万339円(1%増)、雌4922円(5%減)、全体7514円(3%増)

 【浜坂】 水揚げ量=雄4万2342キロ(1%増)、雌5万4562キロ(21%減)、全体9万6903キロ(13%減)▽水揚げ金額=雄4億7889万円(5%増)、雌2億5424万円(16%減)、全体7億3313万円(4%減)▽1キロ当たり単価=雄1万1310円(4%増)、雌4660円(6%増)、全体7566円(10%増)

 【全体】 水揚げ量=雄11万4352キロ(13%減)、雌12万4848キロ(18%減)、全体23万9200キロ(16%減)▽水揚げ金額=雄12億2491万円(6%減)、雌5億8836万円(17%減)、全体18億1327万円(10%減)▽1キロ当たり単価=雄1万712円(8%増)、雌4713円(2%増)、全体7581円(7%増)

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